自民党の公共工事品質確保に関する議員連盟は1月31日に総会を開き、品確法における発注関係事務の運用指針改正案を審議、了承した。改正案では新たに『新技術の活用』に関する項目が設置され、生産性向上や労働力不足への対応、現場技術者の技術力向上につながる新技術の活用や開発促進が盛り込まれた。また災害現場で活動する建設業の写真などを国・地方公共団体がWEBサイトやSNSで公開するよう提示している。今後は議連として要望書をまとめる。運用開始は4月を見込んでいる。
新技術の活用関連では、発注者は最も価値の高い資材を採用すること、脱炭素化に向けた技術を活用するよう配慮することなども示された。
災害対応の建設業の写真をWEB公開することについては、担い手の活動の重要性を広報し、国民の関心と理解が深まるよう務めるもの。国・地方公共団体・建設業団体などの連携で実施することとした。
工期設定については、時間外労働規制の順守、自然条件、週休2日、猛暑・大雪など天候により工事実施困難などを踏まえた施工日数を考慮することを提示した。
除雪に関連しては、持続的な除雪体制を確保するため、待機費用の計上や少雪時の固定的経費の計上など実施に要する経費を計上するよう示した。
災害時対応については、災害復旧工事における補償に関して、役員の労災保険特別加入などを積算に反映することとしている。また人手不足の中で迅速に復旧するため、必要な能力を有する建設企業と地域建設企業によるJVを活用するよう提示した。
このほかスライド条項を工事請負契約書に規定すること、外国人・女性・若者など多様な人材が能力を発揮できるよう留意することなどが盛り込まれている。
改正案作成に当たっては、発注関係団体1833団体、建設業団体839団体に意見を求め、計1381件の意見が寄せられた。
参加した議員からは「建設業は担い手不足。人手をしっかり確保することが課題。工事を進めるうえでしっかりとした発注体制にしてほしい」「資材価格は地域によって異なる。調達に問題がないか検討してほしい」「配置予定技術者の兼任をうまく進めてほしい」などの意見が出され、国交省が今後の対応を説明した。
◎新会長に梶山議員就任
同議員連盟の総会では役員改選があり、新会長に梶山弘志衆議院議員が就任した。梶山会長は会見で「建設業が地域の守り手、インフラ整備の担い手という役割に対応できる体制にすることが大事。賃金についても実効性を含め、利益が出て従業員に還元できるような形にしたい」と抱負を述べた。運用指針改正については「品確法はかなり順守されているが、まだまだの地域もある。地域の建設業を守るため、その役割を考えて発注が行われるべき」。今後の議連活動については「役所と業界と連携していきたい。新たな課題も出てくると思う。地域の担い手としての建設業を残していくことが必要」と話した。
また議連の佐藤信秋幹事長は「昨年の標準価格が今年の上限となっている現状はデフレの構造そのもの。世界で日本だけが、そうした発注方式を行っている。品確法によって、それに対して挑戦していきたい。どれぐらいなら互いに納得できるのか、時間はかかるが進めていく」と述べた。