県建設業協会青年部会(北澤隆洋部会長)、女性部会(小宮山弘子部会長)と県建設部の意見交換会が1月29日、長野市のホテル国際21で開催。両部会が1年間の活動を報告するとともに、工事現場でのゼロカーボンの取り組みを工事成績評定の加点項目にしてほしいと言った要望や、担い手不足解消へのイベント開催について提起し、活発に議論を交わした。
意見交換を前に協会の福原初副会長は「地域の担い手として日々の仕事に取り組んでいるが、担い手不足など事業継続に厳しい状況が続ている。今日の意見交換を含め、長野県がより良くなるよう発展的な考え方を取り入れていってほしい」と求めた。
新田恭志建設部長は「今年は防災・減災、国土強靱化のための5カ年加速化対策の最終年度を迎える。それまでの13年間は建設部の予算は700億円を超えない規模で推移していたが、防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策が始まってから1300億円程度の予算が付くようになった。そのおかげで、維持管理だけでなく、新規投資に予算を回すことができるようになった。また、先日の補正でも昨年より予算額が上乗せされ、道路事業については1.3倍を超えるの予算規模となった。これをチャンスとして、インフラ整備をしっかり進めていきたい」と強調。
続けて「青年部や女性部の皆様には、中高生など次世代を担う人材の確保への取り組みを進めていただいているほか、現在働いている方が働きやすい環境をつくることにもご協力いただいていいる。未来を担う皆様と幅広い意見を出し合いながら、信頼関係を築いていけたら」と期待した。
活動報告で青年部会は動画などでの広報、ゼロカーボンアンケート、建設フォトコンテスト、担い手不足など各支部からの課題とりまとめ、中学校での体験学習を紹介。女性部会は女性職員向け現場見学会や誰もが働きやすい職場環境づくりに向けた現場点検、県職員建設女性の会との意見交換会などを行ったと報告した。
2050ゼロカーボン推進取り組みについて、青年部会ではハイブリッド車・電気自動車等の導入や建設機械のハイブリッド車の導入、社内等の照明LED化の割合、本社・支店・資材置場等の屋根に太陽光発電設備の導入、ソーラーパネル付き現場事務所・休憩室の導入、バイオマス仮設トイレ・節水型トイレ等の導入、本社等のZEB化、エコアクション21またはISO14000シリーズの取得、小水力発電、CO2排出量の算出と削減計画の策定、WEB会議やテレワークの導入、再生可能エネルギーによる電力使用、ICT建機の導入―の13項目についてのアンケートを会員企業に実施。
その中で取組割合が最も大きかったのはWEB会議やテレワーク導入で47%、次いでICT建機の導入43%、社内等の照明LED化41%と続く。一方、最も低かったのは小水力発電で3%、次いで本社等のZEB化5%だった。会員からは、「小規模土工でのICT機械が現在は無理なので、ICT=省人化ではないと感じる」、「小水力発電を行っている事業所があれば見学したい」などの意見が挙げられた。
意見交換では、青年部会から「工事現場でのゼロカーボンに対する取り組みを工事成績評定での加点項目にしてほしい。企業ごとの取り組みに加え、現場ごとの積極性や認知度が向上する」と要望。これに対し県は「ゼロカーボンの取り組みを推進するために、評価項目の創意工夫もしくは社会性等の部分で追加できるように検討していく」と答えた。
また、担い手不足については「イベント開催地の偏りがあり、今後建設業に就業する若者の人数に差が生まれることが想定される。体験学習などについて建設部から、防災体験学習も併せて行っていることを、首長や教育委員会に提案、推奨してほしい。また、専門学科だけでなく普通科高校にも開催の提案、推奨を」と求めた。県側は「普通科高校については、県教育委員会からも周知を約束していただいている。そのほか、年明けに専門学科高校の校長先生の集まりの場で、こういった取り組みがあることを説明した。また、市町村との意見交換の場もあるため、その際にPRも力を入れて行える体制を整えていく」と回答した。。
女性部からはCCUSについて「事業者情報登録は経営事項審査の審査項目となったため除外が可能ではないか」との質問。県は「事業者情報登録については、元請事業者と下請事業者が登録されていることを確認したいが、元請事業者のCCUS導入状況は経審で加点対象となっており、通知書で確認できる。しかし、就業履歴一覧表を出していただければ他の項目も併せて確認できるので、一覧表だけの提出でも問題ない」と答えた。