国土交通省は、建設産業における女性活躍・定着に向けた実行計画を年度末までに作成する。同計画では『2029年まで女性技術者・技能者の人数を毎年増加させる』などの目標を設定している。
建設産業では女性の技術者・技能者が増加傾向にあるが、全体に占める女性の割合は低く、また他産業と比較して離職者の割合も高い状態。このため『すべての人が働きやすく働きがいのある魅力ある建設産業』を実現すべく、計画をもとに取り組みを進める考え。3日に開催された実行計画検討会では計画案が示された。計画は年度末までに作成し、公表となる。
29年度までの目標は◇建設業における女性技術者・技能者の人数を毎年増加◇「女性入職者に対する女性離職者の割合」を「建設業全体の入職者に対する離職者の割合」よりも毎年上回らない◇建設業の管理職に占める割合を毎年度増加◇都道府県単位で活動する団体の「建設産業女性定着支援ネットワーク」への加入を全都道府県で目指す-としている。
官民で取り組む内容は『建設産業の魅力向上・発信』『働きやすい現場の実現』『女性活躍・定着促進に向けた取り組みの裾野拡大』-の3本柱で構成する。
『建設産業の魅力向上・発信』では、まず経営者層、そして現場における意識改革の必要を示す。また産休・育休、妊娠中・育児中の働き方など女性が仕事と家庭を両立できる環境整備、誰もが活用しやすい研修などスキルアップできる環境整備の必要性を掲げる。魅力発信として建設産業の広報事例集も作成し、実行計画とともに公表する予定。
『働きやすい現場の実現』では、快適トイレや更衣室の整備を提示。直轄工事では快適トイレが普及しているものの、地方自治体や民間では改善の必要性があるため、トイレ事例集を作成し、実行計画とともに公表する。このほかトイレや更衣室の利用ルールを徹底することも示している。
『女性活躍・定着促進に向けた取り組みの裾野拡大』では、建設産業女性定着支援ネットワークの活動の全国展開(業界団体との連携、相談体制強化など)、実行計画策定後にフォローアップの場を設け、取り組み状況の確認や課題共有などを行うこととしている。
【ちょこっと補足】
実行計画全体の基本的な考え方は「トップの意識を変えて、現場が変わる。担い手確保につなぐ、すべての人が働きやすく働きがいのある魅力ある建設産業の実現へ」というもの。この考えのもと、若者の入職促進など担い手確保に向けて女性活躍・定着促進に取り組む方針。また「女性の管理職の割合を毎年度増加させる」という目標は、女性の意見を会社内で反映しやすくするため。これにより女性も男性も働きやすい環境を目指している。