県は道路舗装の長寿命化対策を目的に従来の10年設計に加え、20年設計の適用を始めた。対象は高規格道路と一定方向の大型車交通量が1日500台以上の道路で、2022年度末の延長は延べ976・7㎞。新設と舗装修繕設計に適用する。県道路保全課によると、未着工区間など設計済み箇所でも見直せる段階であれば修正設計で対応していくとした。舗装長寿命化で国はアスファルトに比べ耐用年数の長いコンクリート活用の検討も呼び掛けている。
20年舗装の適用は23年3月に舗装の計画・設計指針を改定。県舗装長寿命化修繕計画の改定に合わせた対応。
舗装長寿命化修繕計画は道路施設の老朽化が進む中、限られた予算で舗装の適切な管理を実現。予防保全によるメンテナンス手法を強化・推進して長寿命化や修繕に必要なコストの縮減と平準化を図る。
県管理道路の舗装は3411・5㎞。内訳は高規格道路が34・8㎞、大型車500台以上が941・9㎞、100台以上500台未満1384・4㎞、100台未満は1050・4㎞。舗装の劣化進行速度は大型車の走行台数が多いほど早い。
道路は路床から順に下層路盤、上層路盤、基層、中間層、表層を施工。これらの層の厚さはCBRと大型車の交通量に応じて舗装構造設計(TA法)で算出する。10年設計に比べ20年設計の厚みは全体で3㌢以上という。
県舗装長寿命化修繕計画改定版の管理基準は道路の分類に応じて、ひび割れ率、わだち掘れ量、IRIの各項目で管理基準値を規定。表層の早期劣化区間を排除するため、道路の分類に応じた使用目標年数を設定した。当面は舗装設計期間と同一としている。
コンクリート舗装採用の検討は、LCCを踏まえ国が技術基準を変更。全国の関係機関に呼び掛けた。アスファルト舗装に比べ高い耐久性があり、県産品の砕石の率先利用につながる。
一方で、養生期間が約1カ月と長く、固まった後は掘り返すことが困難。道路下の上下水道や電線共同溝など占用物件の撤去や整備の弊害は大きく、県管理道路では大型車両の通行が多い国道293号佐野市葛生地区やトンネル内の施工に限られているとした。