小山市は、新市立博物館整備基本計画案をまとめた。国道4号に近接する間々田地区の同一敷地内に「新博物館」と「間々田のじゃがまいた伝承館」を、別敷地に「館外収蔵庫」を建設する。延べ床面積は新博物館がRC造2750平方m、伝承館が250平方m、収蔵庫が1000平方m。従来方式の場合は2025年度に基本設計に着手し、PFI方式の場合は26年度に事業者を選定する。自然と歴史文化をつなぐ「総合博物館」へ生まれ変わる。
建設地は新博物館と伝承館が間々田八幡宮北東部の市道4243号線沿いの農地6800平方m。館外収蔵庫は間々田北保育所跡地2100平方m。いずれも用途地域は第1種住居地域。建ぺい率60%、容積率200%。防火指定、高さ制限ともなし。
乙女1丁目の現博物館は開館以来40年以上が経過。施設や設備の劣化、収蔵スペース不足、社会動向への対応、文化財の収集方針や保存計画の明確化、新たな展示方法への課題が山積。新博物館は多彩なつながりを育む「拠点」(ハブ)に位置付けた。
24年度の民間活力導入可能性調査は、あしぎん総合研究所が担当。より魅力的な施設とする官民連携の在り方や効果的な事業方式を検証。従来方式とPFI(BTO)方式を定量的、定性的評価の両面から比較検討の上、近く最適な事業手法を導く。
従来方式では25年度に基本設計、26年度に実施設計、27~28年度の2カ年で建設工事、29年度の開館予定。PFI方式では25年度に特定事業の選定、26年度に事業者募集、27~29年度の3カ年の設計施工を経て30年度に開館の見通し。
同一敷地内に整備する新博物館と伝承館の2つの施設はセキュリティーの観点から管理区分を分ける。相互の利用者や職員の動線を考慮。展示エリア750平方m、体験交流エリア600平方m、収蔵エリア800平方m、管理運営エリア600平方mを想定。
目指す姿は「田園環境都市おやま」を未来につなぎ、多彩な資源と人々を結ぶ場の役割。「魅力」「地域」「人」「未来」の4つをつなぐハブとなる。収集保存、調査研究、展示発進を強化し教育普及、他機関との連携、体験交流活動を充実させる。
考古、歴史、民族、自然の4分野を扱い、展示はエントランス、常設展示室、企画展示室の3エリアで構成。施設計画は誰もが使いやすく安心して利用、利便性が高い、保存展示に適した機能と環境、適正規模の収蔵スペース、災害に強く持続可能性への配慮。
伝承館裏側の来館者の目につきにくい場所に水場、荷解き室、事務室を配置。じゃがまいたの材料となるマダケは20平方m、コケラは400平方mで栽培する。カフェやレストランの飲食コーナー設置は民間企業の参入意向や導入コストを踏まえて決定する。
伝承室は蛇や蛇頭作りの作業に余裕のあるスペースを取り、100人規模の全体会議室を設置。事務室は給湯室、更衣室、トイレを配置。倉庫には道具や材料を収納。水場と荷解き室は2㌧トラックが車寄せでき、荷解きに十分な空間を確保する。
外構は敷地の10%以上を緑地化する。駐車場は一般来館者用、管理車両用、大型バス用のほか、駐輪場を整備。一般来館者と大型バスの出入り口は南側道路に面した位置に設け、にぎわい創出に欠かせないイベント開催が可能な屋外設備を導入する。
館外収蔵庫は耐火性で耐震安全性を満たし、2重壁構造で温湿度管理を徹底。外光を遮断し、紫外線の侵入を防ぐ配置計画を採用。出入り口は原則1カ所とし密閉性、耐久性を持たせる。収蔵庫前室は大型の収蔵品が通り抜けられ、1次的な作業場となる。
23年度の基本構想、24年度の基本計画策定はトータルメディア開発研究所が手掛けた。現博物館はRC造2階建て延べ1908平方m。温湿度管理や害虫対策の見直しが必須。22年4月の改正博物館法の「デジタルアーカイブの作成と公開」に未対応。