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栃木県栃木土木事務所

栃木土木、小山環状線粟宮アンダー、25年度に詳細設計、HEP&JES、構造物検討へ

2025/02/14 栃木建設新聞

 県栃木土木事務所は、小山市の主要地方道小山環状線粟宮アンダーの整備で、鉄道直下部の工法にHEP&JESの採用を前提にJR東日本と調整。3月末にも予備設計を固める。2025年度は道路詳細設計に着手し、JRが軌道下、県は軌道下アプローチ部のボックスやL型擁壁など構造物設計を委託。施工時の交通を確保するため仮設踏切の位置を確定する。現在は着工に向け踏切東側の用地調査・補償を進めている。

 粟宮アンダーは平面交差のJR宇都宮線をアンダーパスし、標準幅員で17・5mに拡幅する。工区延長は800mで総事業費が80億円。1日の計画交通量には1万4700台を試算した。

 採用が見込まれるHEP&JESは、PC鋼から到達側のけん引装置で特殊な線を引き、掘削装置に直結したエレメントを路線下の所定の位置にけん引掘削するHEP工法。

 JES工法は特殊な継ぎ手で鋼製エレメントをつなぎ合わせ、線路下に非開削で構造物を構築する。2つの工法を組み合わせ軌道下に道路空間を構築する。

 利点は掘削箇所上部への列車運行の影響を抑制。防護用の架設工を省略し工期短縮とコスト縮減が可能。本県をはじめ鉄道・道路をアンダーする工法として多くの実績がある。

 粟宮アンダーの法線は17年2月に都市計画決定した都市計画道路3・2・101号粟の宮線が基本。標準幅員17・5mには車道3・25m×2、中央帯2・5m、路肩0・75m×2、自転車歩行者道3・5m×2を納める。

 事業予定地にはJR宇都宮線とJR東北新幹線が上下に並行しており、アンダー形式により一体的に立体交差する。アンダー部の工事では現道を切り回し、仮設の踏切を現道南側に設置する予定。

 事業化に先立ち、15年度に道路の概略設計を大日本ダイヤコンサルタント、15~16年度には地質調査をフジタ地質に委託した。18年度からJRと継続的な協議を進め25年度には詳細設計に移行する見通し。

 想定のスケジュールは用地取得が27年度まで、工事は27年度をめどに着手する。事業期間は32年度を予定。用地調査・測量は三立調査設計、栃木県用地補償コンサルタントが担当。

 粟宮アンダーは、とちぎの道路・交通ビジョン2021で一般広域道路「栃木西部都市連絡道路」に位置付けられている。市都市計画マスタープランでは外環状線の一部を構成。都市の骨格を構成する路線。

 近隣には防災拠点で2次救急医療機関の新小山市民病院が立地。22年度には粟宮新都心第1土地区画整理事業に着手するなど交通アクセスを強化する重要性が高まっている。

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