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【インタビュー】寺田吉道 国土交通審議官/中小企業の海外進出を支援

2025/02/19 本社配信

 国土交通省は、国内建設企業の技術を国際的に展開するべく施策を進めている。最近の国際関係の動きやインフラシステムの海外戦略などについて、寺田吉道国土交通審議官にインタビューした。

 -国際関係について、今後の進め方は。

 寺田 国際関係の仕事は国交省にとって重要。特にインフラの海外展開を現代的ニーズに合わせて進めなければいけない。国際情勢の激しい変動に対応して機敏に動く必要がある。政府全体で海外インフラの戦略をまとめており、国交省としても行動計画を整理して作る。海外インフラ展開への国交省の協力は成果を上げているが、変えるべきところは変える必要がある。相手国のニーズにしっかり応じることが大事。どこの国でもGXやDXは最優先の課題であり、それに対応したまちづくりをするべき。そのうえでメンテナンスなど維持管理・運営に対応する必要がある。制度づくりや人材育成にも協力していく。


 -相手国のニーズに対応している手応えは。

 寺田 もちろんある。公共事業でPPPなど民間投資を活用したいというのは、多くの国で共通の発想。相手国から言われることも多い。日本も柔軟性が求められている。文化の違いを踏まえて援助・協力した方が良い。質の高いインフラは日本の売りだが、当然費用もかかる。相手国の求める水準と資金に見合った整備、運営を意識すべき。


 -官民一体で進めていくうえで、日本の建設会社の強みは。

 寺田 質の良いインフラを提供できることが強み。作るという意味でも管理運営という意味でも質が良く丁寧。そこをプッシュしていきたい。また中堅・中小の建設会社による海外進出への支援も進めたい。海外市場は可能性、魅力がある。大企業だけでなく中堅・中小企業が進出できるよう後押しするのは重要。情報取得やトラブル対応について国として支えていくべきだと思う。どんな海外事業があるのか、現状では情報が不足している。関心を持つ企業に回答できるようにしたい。一定の蓄積はあるが、それを地道に積み重ねていきたい。


 -インフレへの懸念はあるか。

 寺田 ある。原材料を輸入する企業はコストアップに影響する。関税のほか、経済安全保障の懸念もある。外国の海運船は危険エリアを避けて遠回りして航行するため、コストアップが著しい。その辺りも考えないといけない。


 -防災技術の海外展開は。

 寺田 過去に大災害に見舞われた国は、どの国でも防災強化を課題としている。日本は防災大国で防災に関しては進んでいる。防災政策については以前から協力しており、一層充実させる。


【略歴】てらだ・よしみち 東京大学法学部卒、運輸省採用。国交省大臣官房広報課長、新潟県副知事、鉄道建設・運輸施設整備支援機構副理事長、国交省大臣官房長などを経て、24年7月から現職。1965年生まれ、岐阜県出身。

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