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(一財)建設業振興基金

【人材協】若い世代を建設業界に/国交省など取り組み報告

2025/03/03 本社配信

 建設業振興基金は2月27日、建設産業人材確保・育成推進協議会(人材協)全国担当者会議を都内で開催した。冒頭では振興基金の谷脇暁理事長があいさつ。その後、会議では建設業界に若い世代を呼び込むことをテーマに、国土交通省や厚生労働省、都道府県建設業協会の担当者が取り組みを報告した。

 国土交通省からは不動産・建設経済局建設振興課長・城麻実氏が講演。12月までに処遇改善を目的に、低い労務費で見積もりや見積もり依頼をした受発注者を勧告対象にすると説明。同時期までに総価額の原価割れ契約を受注業者にも禁止すると述べた。

 厚生労働省からは職業安定局・村前大輔氏が登壇。25年度から、就業者の技能や経験を登録するデータベース・建設キャリアアップシステム(CCUS)を昇給に活用したときに支援するとした。特に中小建設業者がシステムを元に技能者の賃金を5%アップした際には助成金を支給すると解説。国交省と連携した取り組みについて紹介した。

 国交省の城氏は、主に労務費の確保について取り組みを報告。現行制度では、建設業者は労働者の処遇確保について努力義務が課されている。各業者の取り組みは、同省が調査・公表し、中央建設業審議会に逐一報告されることになっている。新制度では、さらに著しく低い労務費が記載された見積書や見積もり変更依頼について、受発注した建設業者に対して審議会や国土交通大臣が指導・勧告する。また総価格が原価割れする契約の禁止対象を、現行の注文者だけでなく受注業者も対象とする―と説明した。

 また建設現場でのICT導入とCCUS普及についても触れた。ICT導入については測量機や清掃ロボットが補助金助成対象であることを確認した。またASP(電子契約や見積書の作成などをWEBで行うシステム)の導入も推奨した。CCUSについては技能者や就労者の力量把握やインセンティブ・昇給などに活かしてほしいと述べた。

 厚労省の村前氏は、国交省による処遇改善の取り組みと連動した助成金制度について述べた。現行制度はCCUSに就業者情報を登録した際の経費補助が主だったが、新制度では中小建設事業主がシステムに技能レベルなどを登録し、情報を元に5%の昇給を実施した場合、事業主に1人あたり年間16万円を支給する見通しだとした。これまで通り就業者の登録への経費補助は継続し、さらに支援を拡充する方針を打ち出した。

 背景には人材不足、特に若手の不足がある。建設業就業者は55歳以上が36・7%、29歳以下が11・7%となっている。同省は処遇改善と業務効率化による労働時間短縮を業界全体に促し、若手人材の呼び込みに取り組んでいる。

 同会議は建設業の人材確保や担い手の育成をテーマに毎年開催されている。省庁や都道府県の建設業協会の担当者が出席し、意見交換を行う。

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