国土交通省が、埼玉県八潮市で発生した下水道に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえて設置した対策検討委員会(委員長・家田仁政策研究大学院大学特別教授)は3日、2回目となる会合を開いた。会合では全国一斉調査の対象となる管路の条件について議論した。
全国一斉調査については、会合で国交省がたたき台となる案を提示。案では陥没が発生しやすい条件として布設年度の古さや土質などを示し、また社会的影響が大きくなる条件として周辺人口、管径の大きさなどを提示。この条件を踏まえて優先・最優先の管路を抽出して調査すべきとした。
調査方法としては①マンホール目視や管口カメラに加え、潜行目視やテレビカメラ、ドローンによる劣化程度の調査(構造的弱点部は非破壊検査)②不具合発見の場合は管路内や路面から空洞調査―を挙げた。
非破壊検査では管の腐食による管厚の減少、管路のたわみ、変形・破損などの状況を詳細に把握することが可能。空洞調査はトンネルでは実績があるものの、下水道管路では未実施。管径2~5m、水深30~40cmであれば可能と見込まれている。
委員からは「過去に陥没が発生した箇所を優先すべき」「合流式下水道など雨水を流す下水道も調査すべき」などの意見が出された。
調査は都道府県管理の下水道だけでなく、条件が合えば市町村管理についても対象となる。委員会では、どのような管路で調査すべきか今後も条件を検討し、対象を絞り込む方針。
なお、自治体による調査などに対する国の支援については検討中となっている。
次回会合は3月11日に開催される。
◎委員が事故現場を視察
同委員会は同日、八潮市の事故現場の視察も行った。視察について家田委員長は「シールドトンネルの中、天板までよく見えた。地盤を見て、触ることもできた。参加者がそういうリアリティを感じながら現場調査をし、今日の議論に臨むことができた」と感想を述べた。また一斉調査について「前回の緊急点検は、これまでの下水道の点検調査で行うことを緊急に大口径の箇所で実施した。今回は特別に重点を置いて調査する。新しい調査項目も入れて、今まで十分でなかった事項についても調べる。心配な場所が出てきたら、さらに重点調査が必要」と説明した。