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【道路陥没】埼玉県が委員会に意見/点検や対応など提案

2025/03/04 本社配信

 国土交通省が設置した『下水道に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会』(委員長・家田仁政策研究大学院大学特別教授)の2回目会合(3日開催)に、埼玉県が重点点検、事故発生時の対応、今後の維持更新などについて意見を提出した。

 埼玉県は、点検に関する技術開発の必要性、インフラのデータベース化、事故発生時の財政的支援などを提案した。

 提案について家田委員長は「良いところを突いている。じっくり考えるべき内容」と高く評価。ただし委員会では時間的余裕がないことから、提案を元にした議論は先送りとなっている。

 埼玉県の提案概要は次の通り。

◆点検・調査の現状と限界

 ◇目視による判断は具体的かつ客観的な指標があると良い◇想定されていなかった損傷の進行を早める要因はないか◇点検・調査環境が厳しい場合、目視判定には限界がある◇深部に存在する空洞を発見できる技術開発が必要

◆維持管理や事故発生の対応の困難性

 ◇集中するインフラと平素からのデータベース化の必要性◇日頃からの維持管理や事故発生した場合の復旧の困難さを考慮した計画とすべき

◆事故発生時の対応

 以下の体制・制度構築が不可欠◇事故から災害に移行する場合の危機管理体制◇地域消防能力の限界と移行体制の速やかな判断◇事故から災害に移行する場合の総合調整体制への切り替え◇災害救助法・災害対策基本法適用の想定◇災害復旧事業と同等の国の財政的支援

◆今後の整備計画

 以下の観点への対応を推進すべき◇老朽化する流域下水道の更新および補修の困難さ◇管路更生が困難な区間における更新方法◇過酷な条件下において補修を行う業者と効率的な工法の考案◇腐食し覆工が薄くなった場合など旧来の工法で建設された管渠の耐震性◇下水道料金による償還計画と使用期限と計画の妥当性◇更新や補修を行う場合の経費負担◇維持管理の容易さ、リダンダンシーの観点からも更新する場合の古い管渠の取り扱い方法を明確化◇大口径管渠埋設地域のほかのインフラおよび幹線道路の交通対策

◆流域下水道のあり方

 以下について検討すべき◇今後の下水処理のあり方◇大口径管の更新・耐震化とリダンダンシー確保◇公共下水道との役割分散化◇人口減少地域における合併処理浄化槽の役割◇中長期的なインフラのあり方の見通しがつくまで慎重なウォーターPPPの推進

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