県栃木土木事務所は、小山市押切に計画する1級河川杣井木川調節池を見直し面積を15haに拡大。当面は容量16万立方m、将来は27万立方mまで貯水能力を高める。掘削土砂は1級河川巴波川に沿った東側に盛り土し高台を整備して避難路を確保。高台の活用形態を市と調整し規模や機能などを固めるため、測量や設計の発注を検討する。面積の拡大は想定より地下水位が高いため。盛り土した法尻には遮水壁で地盤改良する。調節池は排水樋管が完工し、掘削工事に備え用地取得の進ちょくを図る。
調節池は杣井木川が1級河川永野川の合流部に計画。永野川は杣井木川と合流後、東側から流れてくる巴波川と合流。調節池は東側を巴波川、西側は越流堤を整備し杣井木川の洪水流量を受け入れる。調節池の周りは堤防で囲う。
緊急避難場所に活用する高台は浸水が想定される水深より高くする。高台の面積は浸水想定区域の人口を勘案し、自動車での避難も想定した広さを確保する見通し。県は掘削土流用による基盤整備、資材置き場や備蓄倉庫など付帯施設は市と調整し役割を決める予定。
市は調節池の南北に輪中堤を整備。2025年度には国の事業認定を予定。県の基盤整備は洪水時に南側の輪中堤住民を避難させるため巴川右岸に沿って掘削土砂を盛り土し避難スペースを確保するほか、堤防幅を広げ市道を付け替える。
調節池計画地は地下水位が高く27万立方mを確保するため遮水壁を施工。調節池は2段階に分けて築造を計画しており、盛り土も段階的に整備する。
盛り土の暫定幅は40m。完成形では更に32~34mを貯水池側へ拡張を想定。遮水壁は完成形盛り土の法尻に鋼矢板などで地盤を改良する。
調節池は基本設計で河川特性による洪水モデルの解析に加え、越流堤や樋門など構造物の配置計画を精査。詳細設計では地元要望などを踏まえ機能を付加し、施工条件などを整理、諸元を固めた。排水樋門と調節池の基本・詳細設計は三協技術、地下水調査を芙蓉地質が担当。
杣井木川流域は11年台風15号や15年関東東北豪雨で大規模な浸水被害が発生。特に関東東北豪雨では、浸水面積が100haに及び、69戸の床上浸水と9戸の床下浸水被害が発生した。
県は抜本的な対策として排水機場の能力を毎秒7立方mから12立方mに増強。洪水時の杣井木川の水量を一時的に貯留する調節池の整備を決めた。