国土交通省は7日、バリアフリー設計のガイドラインとなる建築設計標準の改正素案を関係各団体が参加した会議で提示し、議論した。ガイドラインは5月下旬までに公表となる見通し。
会議には有識者および福祉・事業者・建築などの各団体が参加した。ガイドラインは高齢者や障害者の円滑な移動に配慮した建築設計標準。改正素案ではトイレ、駐車場、客席のバリアフリー基準の見直しを踏まえた内容変更のほか、建築物のバリアフリー化を促進するため構成・内容を抜本的に見直すものとなっている。
会議参加団体からは多くの意見が出ており、意見を踏まえてさらに内容を詰めていく方針。5月下旬までには正式にガイドライン公表となる。
素案段階における主な改正ポイントは次の通り。
◆構成・内容の見直し
◇標準的な整備内容の明記=推奨される整備内容について従前は「することが望ましい」と記述していたが、改正では原則として標準的な整備内容として「する」との記述に強化。
◇事例の別冊化=好事例をPRしやすくするため、国土交通省HPに随時アップロードする。
◇建築プロジェクトの当事者参画ガイドラインの策定=建築プロジェクトにおける当事者参画を促進するため「建築プロジェクトの当事者参画ガイドライン」を新たに策定。
◇構成のシンプル化・電子化対応の準備=必要な情報に容易にたどり着けるよう、義務基準・誘導基準に相当する整備内容と標準的な整備内容が一目でわかる構成に変更。PDFしおりの追加。
◆バリアフリー基準の見直しを踏まえた内容の変更
◇トイレ=車椅子使用者用便所の種類を明確化し、一つの便所における機能分散・施設全体における機能分散の考え方を明記。
◇客席=車椅子使用者用客席の設置数に関する基準の記述を変更。同伴者席について固定席ではなくスペースとして設けることを明記。
◇駐車場=車椅子使用者用駐車施設の設置数に関する基準の記述を変更。駐車施設の後部スペース確保に関する記述を強化。
◎25年度は小規模店対象
会議では2025年度に議論するテーマについても確認した。国交省には商業施設テナント部分および小規模店舗におけるバリアフリーについて多くの意見が集まっていることから、25年度はこれら施設のバリアフリー化について実態を把握するとともに、実効性のある対策を検討する。