16日に投開票を迎える第22回千葉県知事選挙に、現職の熊谷俊人氏、共産党の支持を受ける小倉正行氏など4人が立候補している。熊谷氏は、半島性を克服する交通インフラの充実、成田空港を核とした産業拠点形成、現場主義に基づく行政改革など1期4年の成果を踏まえた「県政ビジョン2025」を掲げている。対する小倉氏は、土砂災害の防止や河川氾濫対策の推進、住宅リフォーム助成制度の制定、新湾岸道路建設の中止、成田空港機能強化の抜本的見直しなどからなる「未来を拓く『8つの提案』」を行っている。
そのほか、政治団体Qの黒川敦彦氏、NHKから国民を守る党の立花孝志氏が立候補。向こう4年間の県政のかじ取り役が決まるだけに、県内の建設業界にとっても重大な局面だ。
そこで、政党要件を満たす政党の推薦・支持を受けている熊谷・小倉両氏に、千葉県の建設事業に関する公約や考え、県内の建設業に対する期待などを聞いた。
熊谷 俊人(くまがい としひと)氏/「防災県・千葉」を確立
<年齢>
47歳
<党派など>
無所属(自由民主党、立憲民主党、日本維新の会、公明党、国民民主党の千葉県組織および、市民ネットワーク千葉県支持)
<職業>
千葉県知事
<住所>
千葉市
【千葉県の建設事業に関する公約や考え】
激甚化する風水害や巨大地震などの災害に強い「防災県・千葉」を確立する。
成田空港を核として、アジア圏と闘う産業拠点の整備や広域道路ネットワークの整備で、渋滞解消と地域経済の活性化を図ることが必要。
同時に、新湾岸道路と千葉北西連絡道路の新規事業化、アクアライン6車線化や東京湾口道路などの調査・研究を国に働き掛けることも求められる。
北千葉道路の1日も早い全線開通、千葉北西連絡道路の早期具体化に向けた国への積極的な働きかけ、北西部の県道整備、都県境の橋梁整備を着実に推進していく。
【千葉県の建設業に対する期待】
さまざまな災害から県民の命を守るための防災・減災、さらには災害からの1日も早い復旧に関わる技術や工法の開発、行政・警察などと連携した「オール千葉」での初動段階における連携協力を含む災害対応をお願いしたい。
限られた人・技術・資材・技術力で社会資本の整備や維持・管理を進めるため、地域建設業・測量設計企業間の連携強化を進めていただきたい。
このほか、生物多様性、里山の保全、危機管理対策に資する技術や工法の開発・提案、県内産資材を活用した地産地消を促進する工法開発など、千葉発の新たな価値観を建設という分野で発揮していただきたいと考えている。
【意気込みなど】
県では、将来の建設業の担い手確保の一環として、子どもたちを対象として建設業に魅力を感じてもらうことを目的に、人気ゲームソフト「マインクラフト」を利用した「マインクラフトコンテスト」を開催した。
また、県内の中学1年生および高校1年生を合わせた合計約11万人を対象に、建設業の女性の活躍を紹介する冊子「けんせつ姫」を配付している。
引き続き、こうした取り組みで建設業の魅力を発信していく。
平常時には千葉県活性化のための各種建設事業を効率的かつ迅速に進め、また災害時においてはいち早く被災現場に駆け付け作業に当たる地域の建設業の育成と相互連携の強化を推進する。
年間を通じて工事量を安定させるための施工時期の平準化などの取り組みを引き続き進めていく。さらに、迅速な災害復旧の基礎となる地籍調査も引き続き推進していく。
小倉 正行(おぐら まさゆき)氏/地元業者の優先受注を
<年齢>
72歳
<党派など>
無所属(日本共産党推薦)
<職業>
食ジャーナリスト
<住所>
流山市
【千葉県の建設事業に関する公約や考え】
生活密着型の公共事業を、地元の建設業者が優先して受注できるようにする。
建設労働者の労働条件を改善することこそ、労働者の人手不足を解消できると考えている。
具体的には、公契約条例と公契約法の制定の国への要望、週休2日制と労働単価引き上げ、住宅リフォーム助成制度の制定、アスベスト対策を進める。
【千葉県の建設業に対する期待】
建設業は、街づくりのインフラ整備、「住まいは人権」にとって欠かせない業界。
「多重下請け構造」といわれている状況が改善され、関係者全体が発展できることを期待する。
【意気込みなど】
水道料金20%値上げを中止する。県民が米や野菜の高騰で苦しんでいるとき、その盾となるのが県の役割。
このようなときに、県営水道の20%値上げは、知事のやるべきことではない。
新湾岸道路の建設より、公共インフラの整備、くらしと平和を大切にする県政に切り替える。