国土交通省は、元請会社による下請業者への支払い賃金・労働時間・労務費の実態把握を行う。7日に行われた有識者会議では実態把握の進め方について議論。了承を得られたことから、地方整備局と調整しながら、2025年度の直轄工事で試行する方針。
改正品確法運用指針では『受注者の協力のもと』という文言が追記されたうえで、発注者は「下請業者への賃金支払いや適正な労働時間確保に関し、実態を把握するよう努める」となっている。有識者会議では、この努力義務を果たすための方法を議論した。
試行工事は、発注者が指定した工事のうち、受注者が希望とした工事で行う。
支払い賃金については、施工に関わった技能者に対して支払った賃金総額を下請会社が発注者に提出。労働時間は、対象者の労働日数・時間の合計を下請会社が発注者に提出。さらに対象者の作業時間を元請会社が発注者に提出する。労務費は、下請会社に支払った労務費を元請会社が発注者に提出する。
同省では、実態把握により受発注者間の『見える化』が建設業の商習慣に組み込まれ、結果として賃金を下げることによる低価格競争が発生しづらくなり、技術(開発・生産性)の高さで競うという競争の健全性が高まると見ている。