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千葉県木更津市

「愛」を持って実施設計を/最終回で基本設計案提示/木更津市 吾妻公園文化芸術施設検討委

2025/03/12 日刊建設タイムズ

 木更津市は11日、吾妻公園文化芸術施設整備検討委員会の最終回(第6回)を市役所駅前庁舎8階防災室・会議室で開き、日建設計による吾妻公園文化芸術施設基本設計案を示した。副委員長の土田寛・東京電機大学教授は「事務局と設計者は、新たな施設に対して『愛』が足りない」と指摘し、市民にとって優れ、時代を象徴する施設となるよう、さらに真摯(しんし)に向き合っていくことを要請した。委員長の北野幸樹・日本大学教授は、基本設計に絡む議論を振り返り、「より良いものとなってきた。この『愛』を次につなげてほしい」と、実施設計段階での結実に期待を寄せた。

 今後は、基本設計案に対する意見などを反映させ、年度内に成案とする。実施設計委託に関しては、原則として同社と特命随意契約を締結する予定。実施設計後は、2026年9月から工事を進め、27年12月までに完成させる予定。

 吾妻公園は、吾妻1丁目・2丁目に所在する面積約4万1200㎡の都市公園(地区公園)。基本設計等着手前の概算工事費は約105・2億円。

 25年度当初予算案には、吾妻公園文化芸術施設整備事業費6億794万円を計上。文化芸術施設実施設計および道路詳細設計を行うとともに、民間集客施設の整備に向け、公募設置指針などを作成する。

 基本設計案における文化芸術施設などの平面計画の特徴は▽1階=イベント利用の際のケータリングなどに用いる裏動線の確保、キッチンカーなどの車両の通行確保、公民館利用室の大屋根広場に面した配置▽2階=使い方により和室として展開可能な会議室▽3階=眺めのよい屋内の展望ラウンジ、ホール内を望むことができる会議室――など。

 公園の空間構成に関して「文化芸術施設は、海への眺望を最大限享受できる南側に配置」「既存のクロマツをできる限り残し、その風景を継承」「公園全体に広がる活動の場(広場)の配置」「公園の中央と南北に配置する3か所のメインエントランスと4か所のサブエントランス」「メインエントランスから文化芸術施設へと導き、各広場にアクセスする園路」を提案している。

 ランドスケープデザインの方針は「変化に富んだ微地形や色とりどりの風景がもたらす心地よいシークエンスのデザイン」「空間を分断せずに、人の往来や交流を生む緩やかなつながりのデザイン」「3つの『みち』と広い芝生広場を複数設けた大らかなデザイン」とした。

 また、2月に行ったオープンハウス型説明会および住民説明会の結果概要と、3月定例議会総務常任委員会協議会における意見について報告。

 市民からは「ホールの音響はしっかりしたものにしてほしい」「公園がきれいに整備されることが嬉しい」「屋外トイレを複数設置してほしい」「階段に手すりを設け、多機能トイレも設置してほしい」「液状化の心配は無いのか」などの声が上がった。

 そのほか「中央公民館の跡地はどのように活用するのか」「現図書館と現市民会館の跡地はどうなるのか」「駅前の再開発を考えてほしい」といった質問や要望が寄せられた。

 総務常任委員会協議会では、文化芸術施設施設に関して「延べ床面積の縮小に伴い、建蔽率に余裕ができるため、今後の増築を前提とした設計とすることはできないか」「予算の上限に合わせて設計されており、使いづらい印象。公民館を削るといった検討も必要ではないか」「ホールは700席を設置できるよう設計されているか。席幅が狭くなっていないか」「駐車場から遠いため、あおぞら広場と常設駐車場の位置を入れ替えてはどうか」などの質問や意見があった。

 これらを踏まえ、建物周りの駐車場などの拡充策として、西側園路を利用した車寄せの確保、建物西側などに28台(縦列の場合)確保、建物北西側に30台程度確保を模索。また、バリアフリー動線について、建物北側からの主動線として北東部エントランスへのスロープの設置、エレベーターの設置なども検討していく。

 

カフェやドッグラン/民間集客施設の調査

 

 民間集客施設に関するサウンディング型市場調査について説明した。調査には13者が参加し、カフェ、ドッグラン、フットサル場、子育て支援施設などの提案が寄せられた。

 市場調査に当たっては、24年11月11日に実施要領などを公表。民間集客施設の設置・運営事業や文化芸術施設および公園を含む管理運営などについて、事業主体として関心と意欲を有する法人または法人のグループを調査対象として募集した。

 集客施設に関する事業スケジュールは▽25年度=事業者公募準備▽26年度=事業者公募・選定▽27年度=設計・建設▽28年度以降=運営・管理――の見込み。

基本設計に関する議論が終結した

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