県環境生活部は12日、環境研究センター基本計画検討会議(座長=近藤昭彦・千葉大学名誉教授)の最終回(第3回)を県庁南庁舎4階収用委員会審理室で開催し、環境研究センター基本計画の案を提示した。市原地区と稲毛地区に分散するとともに老朽化が著しい環境研究センターの建て替えに伴い建設する新たなセンターは、本館がRC造免震構造3階建て、延べ床面積4772㎡、高さ14~15m程度、また付属施設がS造平屋、床面積828㎡の想定。規模については今後、さらなる統合・集約化による縮減を検討する。概算事業費は、ZEBの場合約80・2億円、Nearly ZEBの場合約78・32億円となっている。
概算事業費の内訳は▽設計・監理=約3・04億円▽解体=約2・6億円▽新築工事=約55・83億円▽付属施設工事=約4・24億円▽外構=約7・99億円▽その他=ZEBの場合約6・5億円、Nearly ZEBの場合約4・62億円。
整備に当たり、環境省の「地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業」と、国土交通省の「サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」の活用を検討していく。
建設地については、環境研究センター市原地区、農林総合研究センター旧別館・空地、農林総合研究センター旧本館を候補に検討を行い、最も敷地が広大で設計の自由度が高く、建設・解体費用の低減が期待できる農林総合研究センター旧別館・空地を最有力候補として選定した。
農林総合研究センター旧別館・空地は、千葉市緑区大金沢町180―1に所在。敷地面積は約1万6400㎡。地盤高さは、旧別館49・5m、空地44m。
土地利用計画については、高低差があることを考慮し、本館や周辺機能は原則として敷地が広い旧別館跡地に集約。空地は近隣の住居にも配慮し、建築物の設置や活動を伴わない駐車場などのスペースとして活用。また、ZEBの実現に向け、可能な限りの太陽光発電パネル設置スペースを確保する。
基本理念は「調査・研究の質と研究員の意欲が向上するとともに、センター内の研究室横断や他機関との連携が進む研究所」と「環境分野の支援・発信・交流の拠点として、人々が集う、県の環境保全のシンボルとなる研究所」。
基本理念を実現するため、調査・研究機能の強化、技術支援・研修機能の強化、発信・交流の拠点機能の強化、地球温暖化対策機能の強化を推進する。
委員の廣田直行・日本大学生産工学部学部次長・教授は、土地利用イメージ例におけるエントランスと駐車場の位置関係を課題としたほか、平面ゾーニング例で諸室配置が詳細であることに触れ、「プロポーザルなどにより設計者を選定する場合に、自由度の高い提案の支障となる可能性がある」と指摘。
さらに、事業スケジュールの記載内容について、設計施工分離発注方式に限定しているように取られかねないとの見方を示し、ECIなど建設業者が参画しやすい方式を検討していくことが必要とした。
今後は、寄せられた意見などを踏まえて最終案を作成し、委員による確認を経て、計画策定・公表の運び。
なお、2025年度当初予算には、事業費9150万円を計上。建て替えに向けた土壌汚染調査などを行う。