国土交通省は、盛土のり面の強化に向けて点検を実施し、必要に応じて防災対策事業(排水ボーリング設置、ふとんかご設置など)を進めている。2025年度は地方管理道路を対象として同事業における補助制度を創設する。
能登半島地震では、緊急輸送道路である能越自動車道の盛土区間において大規模崩壊が多数発生し、人員・物資輸送に影響を及ぼした。これを踏まえ、全国の緊急輸送道路を対象として高盛土(約10m以上)および集水地形の点検を実施した。
点検は25年7月から実施。水が影響する箇所を現地踏査し、要対策箇所を抽出して簡易動的コーン貫入試験や簡易地下水調査を行った。詳細調査としてボーリング、サウンディング調査なども実施している。
点検は、高速道路(900カ所)、直轄国道(1500カ所)は24年度で完了し、要対策箇所を確定した。高速道路の要対策箇所は74カ所、直轄国道の要対策箇所は271カ所(このうち26カ所は対策工事着手済)となっている。
地方管理道路は点検対象箇所数が多いことから、第1次緊急輸送道路(約2000カ所)を優先して調査を進めている。334カ所で点検を完了し、29カ所で対策工事に着手済。25年度内にすべて点検完了となる見込み。第2・3次緊急輸送道路(約3700カ所)は491カ所で点検完了。26年度内の点検完了を目指している。
地方管理道路を対象とする道路盛土法面防災対策の補助制度は25年度に創設。補助要件は◇緊急輸送道路◇盛土のり尻から測った盛土高がおおむね10m以上の盛土◇地山傾斜地など水の集まりやすい地形条件に造成された盛土―などを予定している。