牛久市は、牛久シャトー事業再生検討を進めている。有識者会議において、経営改善策や事業再生計画に関する議論を進め、6月中の事業再生計画策定を目指す。重要文化財(建造物)シャトーカミヤ旧醸造場施設保存活用計画についても策定予定。事業再生計画を踏まえて方針を固め、文化庁との調整などを行った上で活用計画をまとめる。順調なら26年度より施設改修等に着手したい考え。
重要文化財(建造物)シャトーカミヤ旧醸造場施設保存活用計画(案)では、当面必要な維持修理の措置および今後の保存修理計画を示した。維持修理の内容が①貯蔵庫内レストランの排気ダクトの雨漏り防止(コーキングなど)②事務室2階大広間窓の開閉金具の不具合への対応③事務室や醗酵室の建具の隙間への緩衝材(止水ゴムなど)設置④事務室2階応接室付近の雨漏り防止対策(軒樋の掃除)⑤醗酵室中央両開扉に、戸車等の設置-となる。
保存修理計画としては、①事務室へのエアコン設置②事務室階段への仮設手摺の設置③屋根材・外壁・雨樋の定期的な塗装、漆喰等の塗り替え④洗滌場から貯蔵庫周辺の排水不良箇所の改良(排水施設設置や流末処理の対応検討)⑤レストラン非常用出入口西側の木橋の橋脚の修理または排水用池の見直し⑥醗酵室のドライエリア廻りの排水処理-の順で対応する必要があるとした。
また、洗滌場の発掘調査成果に基づく地下遺構と出土遺物の展示手法や、トロッコレールの位置の平面表示、貯蔵庫西側の樽小屋の保存・活用に向けた方策についても検討を行う。
施設整備に当たっては、文化財保護に係る手続きが必要となることから、6月に策定予定の事業再生計画を踏まえて方針を固め、文化庁との調整などを行った上で25年度内に活用計画をまとめる。順調なら26年度より改修等を行う方針だ。
実施主体に関しては、市議会「エスカード牛久ビルおよび牛久シャトー対策検討特別委員会」による中間報告において、市が施設の保存活用を担当すべきとの提言があった。今後は有識者会議の中で、経営改善策や組織のあり方、事業の方向性と合わせて検討する。 事業再生計画および施設保存活用計画の策定に向け、今後の保存活用に向けた意見募集を4月18日まで実施中。事業全体に対する市民からの意見を踏まえ、検討を進めていく。
シャトーカミヤ(中央3-20-1)は1903年に開設された日本初の本格的ワイン醸造場。施設概要が▽事務室=れんが造2階一部平屋建て、建築面積308・52㎡▽醗酵室(事務室)=れんが造地下1階地上2階建て、建築面積436・75㎡▽貯蔵庫=れんが造平屋建て、建築面積404・58㎡-。