国土交通省が設置した、物流拠点のあり方に関する有識者会議が報告書をとりまとめた。報告書では、中継輸送拠点の整備の必要性や地方公共団体が整備に参画するスキーム構築などが示された。同省は報告書を踏まえ、物流拠点の政策を進めていく方針。
物流拠点が直面している課題としては①物流拠点の整備・配置が各社ごとの判断に委ねられており、同地域内の物流拠点配置状況が正しく把握されず整備されている。全体を見据えた政策的な配置が必要②トラックドライバーの時間外労働上限規制の適用により、輸送距離や運転時間が減少。そのため幹線輸送の中間に、ドライバー交代場所・休憩施設などの機能を有する中継輸送拠点の整備が必要③営業倉庫、トラックターミナルなどの物流拠点の老朽化が進展。整備資金の確保やビルド&スクラップの土地確保が困難。現行の支援は倉庫業者が整備する営業倉庫に対する税制支援に留まっている④都市部の沿岸部において、倉庫の庫腹占有率が高止まり。食料安全保障の観点からも庫腹量を増加させる必要がある⑤物流拠点は地域戦略上のポテンシャルを有するが、物流拠点の整備について地方公共団体が参画するスキームがない―となっている。
これに対応して、今後の方向性として◇国は物流拠点に求める役割を政策的に示すとともに、立地や整備で配慮するべき事項について方針を示す。また現状において把握できていない物流拠点を把握する方法、物流に係る需給を把握する仕組みの構築を検討する◇地域の新産業創出など活性化につながるための基幹物流拠点の整備について、地方公共団体も参画するスキームを設け、必要な支援措置を検討する◇国民生活や経済活動に必要不可欠な物資の調達に関係する物流拠点について、老朽化した施設の再構築や新規供給を促すため、地方公共団体も参画するスキームを設けるとともに、必要な支援措置を検討する―とした。