茂木町増井の主要地方道那須黒羽茂木線と交差する町道荷の光塩田線の拡幅改良に併せ、冠水被害を防除する雨水排水対策が検討される見通しとなった。県真岡土木事務所は、那須黒羽茂木線の側溝の断面拡大や流末先の1級河川逆川への排水路の整備など町と調整し方向性を探る。整備は茂木中学校付近の歩道のない狭あい区間600mを幅員12mに拡幅し線形を改良。車道両側に自転車通行帯1・5mと南側に歩道2・5mを確保。北側に隣接する雨水供給源のがけ地の対策の必要性なども検討する。
増井工区は路線測量や道路詳細設計をまとめ、昨年9月の地元説明会に計画内容を提示。地元からは8月の豪雨で那須黒羽茂木線を中心に冠水被害が発生し雨水対策を優先する要望が数多く出された。
大雨が降ると道路北側の斜面に湧水が発生。小規模な沢筋を伝って県道に雨水が流出し冠水被害が頻発する。
増井工区の事業区間は、東を消防茂木分署付近から西は茂木中学校まで約600m。区間内には町道荷の光塩田線が北側、町道神井増井線が南側から県道に合流。クランク状の交差点(増井交差点)を形成している。
県は那須黒羽茂木線の拡幅改良に併せ、荷の光塩田線の法線を西に振り神井増井線と十字で交差するよう法線を改善する。
交差点の町道2路線は右折レーンを設置。荷の光塩田線は一般部を6・5m、交差点部は右折レーン2・75mを配置し全幅9・25mに拡幅する。
神井増井線は幅員16mを再配分して交差点に右折レーン2・75mを確保。車道は3・5mから3m、車道両側の路肩を1mから0・625m、両側の歩道は3・5mから3mに縮小し付加車線分を創出する。
那須黒羽茂木線の現道幅員は約8m。車道3m×2車線の両側の歩行者・自転車が通行する路肩部分をラインで区分。
現道はがけ地に沿って緩いカーブが続き視認性が悪い。町中心市街地から続く現道北側は、がけ地に挟まれるように人家が張り付き、南側は連たんしている。
計画の幅員構成は車道3m×2車線の両側に自転車通行帯1・5m。茂木中学校が立地する南側に歩道2・5m、北側の路肩0・5mを配置する。
増井交差点の東西方向には幅員15mの右折レーン3mを確保する。路線測量を三進、道路予備・詳細設計は新日本建設コンサルタンツが担当。
那須黒羽茂木線北側の丘陵地は増井交差点西側のがけ地となっている土石流危険渓流(増井Ⅱ)が所在。がけ表面は表土がむき出しになっており、大雨などで危険性が増すため土砂災害の注意を喚起する落石注意の看板が設置されている。
増井Ⅱの西隣は急傾斜地崩壊危険箇所(榎本)が所在。がけ地法面を保護するブロック積み擁壁を施工し1989年度に竣工した。延長34・3m、高さ8m。
榎本の西隣で茂木中学校正面付近には土石流危険渓流(滝下)が所在。大雨時にはこれら、がけ地の表土の間から湧水、渓流などからは雨水が流れ出し冠水被害の供給源となっている。
冠水する那須黒羽茂木線から流末先の逆川までは神井増井線で約250m。増井地区の総合的な治水対策を踏まえ、雨水排水処理の方向性や整備手法を検討していく。