県烏山土木事務所は荒川・塩谷の三箇工区(那須烏山市藤田~小白井、延長約3800m)の河川改修で、越水被害があった下流側の掘削工事を2024年度に引き続き25年度渇水期に発注。排水樋管は河道設計を踏まえ5基を改善。バランスウェイト式フラップゲートで3基の諸元をまとめ、2基が設計中。落差工2基は設計を25年度以降に委託。架け替え予定の藤田橋(市道小倉藤田線)は交互通行が可能な橋長90m。両岸から本川まで高低差があり、架設条件を精査し25年度にも設計の委託時期を検討。取水堰1基は地元の意向を踏まえ整備計画を検討する。
三箇工区の事業区間は下流端が藤田橋、上流端が青雲橋(市道三箇小白井線)。台風や豪雨で11年9月と19年10月に家屋や農地への浸水被害が発生。藤田橋の下流区間は19年東日本台風で被害を受け、改良復旧事業を実施した。
三箇工区は浸水被害の軽減を図るため、河川断面を拡大し流下能力を高める。計画流量は毎秒1000立方m。計画確率規模は20分の1。
標準断面(三箇橋下流付近)は約90m。計画河床勾配は370~410分の1。現況の瀬や淵、澪筋を可能な限り保全・創出し、生物の生息環境や多様性に配慮する。
2月の地元説明会では豪雨時のバックウォーターによる越水被害を抑止するため早期の堆積土の除去が要望された。説明会後2月に藤田橋から上流400m、約6400立方mの掘削工事を発注。25年度も11月を目途に更に上流側同規模の掘削工事の発注を準備している。
河道詳細設計は富貴沢建設コンサルタンツが藤田橋~三箇橋、富士コンサルタンツが三箇橋~青雲橋までの区間を担当。排水樋管は現場打ちボックスカルバ―ト形式で1号と2号、3号が藤田橋~三箇橋間。4号と5号は三箇橋~青雲橋間に整備する。
1号は藤田橋上流部付近の左岸。本体延長が19mで門扉は幅1・8m×高さ1・5mと幅1m×高さ1・5mの2連。設計は富貴沢建設コンサルタンツ。
2号は三箇橋下流の左岸。約20mの本体延長に門扉は幅1・5m×高さ1・5mの1連で大日本ダイヤコンサルタントが設計中。
3号は築堤に伴い三箇橋下流側右岸に新設。本体延長13・6mで門扉は幅1・4m×高さ1・4mの1連。4号が三箇橋上流左岸側に本体延長17・7m。門扉は幅1・7m×1・7mの1連。両排水樋管は富士コンサルタンツが担当。
5号は青雲橋下流側右岸に本体延長が約20m。門扉は幅1・5m×高さ1・5mで新日本建設コンサルタンツが設計中。
三箇工区の事業期間は23~42年度。工事概要は築堤8万8000立方m、掘削33万5000立方m、護岸7000平方m。付帯工事は道路橋1橋、取水堰1基、落差工2カ所、樋管5基。
藤田橋は河川断面の拡大に合わせ架け替えを予定。現橋は1973年架設の3径間単純鋼鈑桁RC床版。橋長90mで車道のみ幅員5m。
落差工は藤田橋直上流部と三箇橋と青雲橋の中間部付近の2基。取水堰は下流区間にある滝上堰。河道計画や地元調整などを踏まえ整備計画を固めていく。
総事業費は約29億円。測量設計2億円、用地補償2億円、工事25億円を見込む。可能な限り現況の堤防を生かした線形とし、建設発生土を公共工事間で流用するなどコストを縮減する。