小山市は22日、新博物館と間々田のじゃがまいた伝承館複合施設整備事業のスケジュールを市議会に説明した。設計施工と管理運営にPFI方式を採用。2025年度は実施方針と要求水準書を作成、26年度は公募型プロポーザルで事業者を選定する。27年度は基本・実施設計、28年度に着工する。29年度の完成を目指し、総事業費約65億円を投入する。
建設地は間々田2431-3の面積6842・91平方mの畑地。市土地開発公社が取得済み。設計費は約2億8000万円、工事費は約50億円、15年間の維持管理運営費が約11億2000万円、測量や開館準備ほかが約700万円と試算した。
24年度のあしぎん総合研究所による民間活力導入可能性調査の結果、従来手法との比較で事業費削減効果が4~10・31%が見込めると報告があった。職員の事務負担軽減、民間の創意工夫の発揮、効率的な施設整備、質の高いサービス提供が期待される。
複合化によるメリットを最大限に生かし伝承館で想定していた活動のうち記録、保管、公開や歴史情報発信を博物館が担う。伝承館は技術の伝承に注力する。学芸員は市直営を維持し、より専門性を高めた資料収集や調査研究に専念する。
規模はRC造2階建て延べ約3000平方m(博物館2750平方m、伝承館250平方m)、館外収蔵庫が1000平方m。用途地域は第1種住居地域。建ぺい率60%、容積率200%。多彩なつながりを育む「拠点」(ハブ)に位置付けた。
同一敷地内に整備する新博物館と伝承館の2つの施設はセキュリティーの観点から管理区分を分ける。相互の利用者や職員の動線を考慮。展示エリア750平方m、体験交流エリア600平方m、収蔵エリア800平方m、管理運営エリア600平方mを想定。
目指す姿は「田園環境都市おやま」を未来につなぎ、多彩な資源と人々を結ぶ場の役割。「魅力」「地域」「人」「未来」の4つをつなぐハブとなる。収集保存、調査研究、展示発進を強化し教育普及、他機関との連携、体験交流活動を充実させる。
考古、歴史、民族、自然の4分野を扱い、展示はエントランス、常設展示室、企画展示室の3エリアで構成。施設計画は誰もが使いやすく安心して利用、利便性が高い、保存展示に適した機能と環境、適正規模の収蔵スペース、災害に強く持続可能性へ配慮する。
伝承館裏側の来館者の目につきにくい場所に水場、荷解き室、事務室を配置。じゃがまいたの材料となるマダケは20平方m、コケラは400平方mで栽培する。カフェやレストランの飲食コーナー設置は民間企業の参入意向や導入コストを踏まえて決定する。
伝承室は蛇や蛇頭作りの作業に余裕のあるスペースを取り、100人規模の全体会議室を設置。事務室は給湯室、更衣室、トイレを配置。倉庫には道具や材料を収納。水場と荷解き室は2㌧トラックが車寄せでき、荷解きに十分な空間を確保する。
外構は敷地の10%以上を緑地化する。駐車場は一般来館者用、管理車両用、大型バス用の計65台を収容するほか、駐輪場を整備。一般来館者と大型バスの出入り口は南側道路に面した位置に設け、にぎわい創出に欠かせないイベント開催が可能な屋外設備を導入。
館外収蔵庫は耐火性で耐震安全性を満たし、2重壁構造で温湿度管理を徹底。外光を遮断し、紫外線の侵入を防ぐ配置計画を採用。出入り口は原則1カ所とし密閉性、耐久性を持たせる。収蔵庫前室は大型の収蔵品が通り抜けられ、1次的な作業場となる。
23年度の基本構想、24年度の基本計画策定はトータルメディア開発研究所が手掛けた。乙女1丁目の現博物館はRC造2階建て延べ1908平方m。開館以来40年以上を経て老朽化が著しい。改正博物館法の「デジタルアーカイブの作成と公開」に未対応。