県一宮川改修事務所は、一宮川第三調節池の2029年度の完成を目指している。23年度に用地交渉へ着手しており、まとまった用地を確保できた箇所から遮水工と掘削工を順次進めていくとともに、排水樋門、流入樋門、周囲堤(管理用通路)、越流堤の築造工、支障となる農業用取水堰の移設工、町道連通管の布設工などを実施する。また、施工中においても治水効果を発揮できるよう、25年度に施工計画の検討を行う。
工事用道路工は浜谷総業が請け負っており、9月25日までの完了予定。
排水樋門工は丸信工業が受注しており、26年2月5日までに完了する見込み。
さらに、6月までに「浸水対策重点地域緊急工事(一宮川第三調節池・遮水工)」を事後審査型一般競争入札で発注する。工種は土木一式工事。予定工期は8か月。工事内容は、遮水工L100m。工事発注規模は5000万円以上1億5000万円未満。
流入樋門の詳細設計は、いであが手掛けており、7月頃までに終える。
農業用取水堰移設の詳細設計はオリエンタルコンサルタンツが担当しており、10月頃までに取りまとめる。関連して、移設予定地を対象とする地質調査について「浸水対策重点地域緊急委託(一宮川第三調節池・地質調査)」として指名競争入札手続きを進めている。業種は地質調査。15日と16日の入札期間などを経て、16日のうちに開札する。委託期間は70日。
農業用取水堰は、長南町岩川394―5の北東側に位置。越流堤築造の支障となることから、約100m下流(「トリミングサロンリコ*」の北西側)に移設する計画。移設に当たり、河道拡幅に対応するため、堰の幅を現況の約7mから約15mに拡大する。
町道連通管は、第三調節池が長柄町道2062線をまたぐ計画であることから、町道下部2か所にボックスカルバートを布設し、通水を確保するもの。
施工計画検討は「浸水対策重点地域緊急委託(一宮川第三調節池・施工計画検討)」として、6月までに指名競争入札手続きを開始する。業種は河川・砂防および海岸。委託期間は7か月。
第三調節池は、堀込式・横越流方式、面積約20ha、深さ4~5m程度、貯留量約55万m3とし、長柄町小榎本に築造する。越流後、水位が低下すると排水樋門により自然排水される計画。
3月17日には「第9回一宮川流域治水協議会」をウェブ会議形式で開催した。参加機関は、県のほか、一宮川流域の1市4町1村。
21年3月末公表の一宮川水系流域治水プロジェクトに関し、第三調節池の設置などを含む修正について合意形成した。