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栃木県宇都宮市

芳賀・宇都宮LRT事業、駅西側700億円を試算、教育会館前にP&R駐車場検討

2025/05/10 栃木建設新聞

 宇都宮市は9日、芳賀・宇都宮LRT事業についてJR宇都宮駅西側延伸の概算事業費を700億円程度(税抜き)とする試算値を示した。交通結節点の桜通り十文字付近では教育会館前停留場付近にパーク&ライド駐車場の設置を検討。上下分離方式の営業形態が可能となる軌道運送高度化実施計画は年内に策定する予定。スケジュールについては用地取得の交渉期間、軌道等の工事期間を考慮。工程計画の精査を進め具体的なスケジュールを明らかにしていくと議員説明会で報告した。

 概算事業費は導入空間や施設計画の具体化に伴い試算。物価の高騰(労務資材単価約1・25倍、車両単価約2倍)、道路幅の確保や車両留置に必要な用地取得、車両編成数の増加(5編成を11編成程度に)を考慮。これまで類推していた約400億円程度を大幅に上回った。

 整備効果は駅東側と同程度を予測。駅東側では外出率が開業前の75・7%から82・2%(2024年度)、交流機会は28・9%から38・7%、歩数は5155歩から5480歩に増加。沿線人口は約5600人、転入超過は約1900人増え、地価は住宅地で約14%、商業地で約9%上昇。ライフスタイルの充実や地域活性化効果が発現している。

 また、清原工業団地では公表されているものだけでもライトライン開業前後で民間投資額は1100億円を超える。

 駅西側のライトライン沿線でもJR宇都宮駅西口南地区や大通り南地区の市街地再開発事業が進展。高層マンションは4件新設、中村第1ビル建て替え、パルコ跡へのゼビオ本社移転など、すでに民間投資が活発化してきている。

 交通結節点の駅西口周辺地区は、官民一体となったまちづくりを進めていくための将来像や整備の考え方を取りまとめた「JR宇都宮駅西口周辺地区整備基本計画」の年内策定に取り組んでいく。

 計画の推進に向け、平面図(イメージ)をもとに基本設計を進め、2階通路を含む歩行者動線、バス・タクシー・一般車空間の配置や規模を決定していく。駅前の過度な自動車の流入抑制につながるよう民間街区には、まちなかにアクセスしやすい集約駐車場の整備や民間施設へのアクセス動線も検討していく。

 東武宇都宮駅付近では、東武馬車道通りで交通規制の影響評価に係る交通流動調査、荷捌き事業者へのヒアリング、地元関係者との将来の道路空間に関する意見交換を実施。

 桜通り十文字付近では将来の面的まちづくりの検討を進め、開業時におけるバスの運行ルートや乗り継ぎ利便性の確保に向けた整備内容を具現化する。

 需要予測は近年の公共交通の移動需要やライトラインの利用傾向を反映。速報値として東西合わせた利用者数は、現時点で平日1日当たり3万2000人程度が見込まれると算出した。

 国道・県道部の都市計画手続きは駅東側と同様、都市再生特別措置法に基づき、県から都市計画の決定等に係る権限の委譲を受け進めていく。

 市は検討結果を夏頃をめどに議会に示す予定。

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