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栃木市、文化会館を大規模改修、総工費64.5億円、来夏に改修工事

2025/05/17 栃木建設新聞

 栃木市教育委員会は16日、栃木文化会館大規模改修基本設計案(旭町12-16)を市議会に報告した。建物はSRC造地上3階地下1階建て延べ8090・4平方m。2026年2月までの基本・実施設計はフケタ設計が担当中。改修工事は26年7月~28年9月までの3年間を要し、施工期間中は休館する。29年1月のリニューアルオープンを目指し、総工費64億5520万円を見込んでいる。

 総工費内訳は機械設備17億6287万円、舞台設備15億7963万6000円、建築10億4754万9000円、電気設備6億9605万9000円、共通仮設工事・現場管理費12億3210万9000円、外構1億3697万7000円。

 栃木文化会館は市中心部に立地。築40年以上が経過し、劇場施設や舞台機構が老朽化。諸課題解決へ①長寿命化②安全確保③施設機能向上④利便性向上⑤社会経済や環境問題への対応⑥ランニングコスト縮減-への大規模改修工事に乗り出す。

 利便性向上にホールの座席幅を現行の480㎜を500㎜に拡大し、利用者の快適性を確保。大ホールは1092席、小ホールは380席。トイレは混雑解消へ増設し、明るく清潔な個室スペースを拡充。女子洋便器53個、男子は洋便器23個、小便器37個。

 長寿命化策は耐用年数を超過した大小ホール舞台機構装置(音響、照明)、受変電設備、消火設備配管、屋上防水、外壁タイルを更新。安全基準に対応し大小玄関ホール大空間の天井耐震性強化、アスベスト含有材の撤去、シャッター挟まれ防止装置を設置する。

 機能向上では舞台設備のデジタル化、プロジェクター機器の設置、舞台床改修、小ホールの間仕切りと空調機の新設、大ホールシーリングスポット室中央への小部屋設置、内装を改修。社会経済や環境への対応ではユニバーサルデザイン化、太陽光発電設備を備える。

 ランニングコストは照明LED化、節水型便器、換気、自動制御、給湯、空調の各設備改修を通じ縮減。大小ホールの床は県産木材を活用。設備は運転~維持管理~修理までの総合的な保守管理がしやすい機器類を選び、改修時の動線を考慮して配置する。

 既存の高架水槽は撤去し、給水設備は受水槽プラス圧力給水ポンプユニット方式を採用。地下にSUS製組み立て型受水槽を設置。給排水管は全て更新する。非常用発電設備を導入し、災害時の防災活動の展開と施設機能を維持する。

 舞台機構は一部の交換を除き開館当時の装置を使用中。ハロゲン光源はLED光源化、近未来の舞台芸術の進化に耐えられるリモートカメラシステム、大小ホールへ4K高輝度・高解像度プロジェクターを設置。スクリーンから離れた席でも鮮明な映像が演出できる。

 音響設備は音質性能が向上するデジタル化し、音響担当者の操作性を容易にする。残響時間は現状を維持できるよう壁や天井の形状変更を極力避ける。大小ホールの室内が暗いという指摘を受け、適正な照度に調節。座席改修に併せ、カーペットは全面更新する。

 駐車台数は338台を計画。乗用車の駐車桝幅は2500~2600㎜、奥行き5500㎜を軸に配置方法を検討。現場透水試験結果に基づき、複数の雨水貯留槽を設置。各出入り口には横断側溝を設け、貯留槽に接続。場内には誘導案内看板を設置する。

 22年度の劣化状況調査、23年度の基本計画策定とも大森一級建築士事務所が手掛けた。耐用年数超過設備を更新するほか、環境への配慮から高効率で長寿命な機器、再生可能エネルギーの導入といったSDGs達成へライフサイクルコスト低減を意識した。

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