県砂防水資源課は、2025年度事業概要をまとめた。砂防施設づくり事業費に18億6200万円を配分。内訳は砂防事業が50カ所10億8300万円、急傾斜地崩壊対策(地すべり含む)事業は27カ所5億9000万円、看板設置や土砂災害警戒区域調査などソフト対策事業には1億8900万円。新規は24年度12月補正で砂防4カ所、急傾斜地崩壊対策2カ所に着手したほか、当初では蓑沢一号沢(那須町)が堰堤整備に向け測量調査・設計、急傾斜地崩壊対策では4カ所の工法を検討する。(3面に新規箇所の概要)
砂防事業のうち堰堤工事の進ちょくを図るのは下小網中沢(日光市藤原)、門前向沢(那須塩原市塩原)、天頂下沢(塩谷町船生)など。
下小網中沢は堤高11m、堤長38m、鋼製スリットを配した水通し幅3mの堰堤を整備。25年度はコンクリート部分の本体の進ちょくを図り、鋼製スリットは下期の発注に備える。
天頂下沢は工事用兼管理用道路と堰堤施工地の地盤改良工が完了。本堰堤の打設工事の進ちょくを図る。堤高が5・5m、堤長86・5m。中央に鋼製スリットを配した透過型で水通し幅が7m。
天頂下沢は北と東、北東側から流れ込む3本の沢筋があり、堰堤は合流部に整備。沢の形状からくの字型の堰堤。長辺が56m、短辺30・5mで計画し、水通しは長辺に設置する。
門前向沢は堤高6m、堤長55mの透過型で補正分を合わせ本体施工の進ちょくを図る。
急傾斜地崩壊対策は、上ノ山A(宇都宮市上大曽町)、城間Ⅰ―C(那珂川町松野)、神谷(足利市小俣町)などの対策を推進。
上ノ山Aは法面の植生を残すノンフレーム工法を採用。延長が443m、施工面積6200平方mのうち400平方mを進めてきた。25年度は施工延長25mを計画した。
城間Ⅰ―Cは待ち受け式擁壁73・6mを計画。25年度は32・7mの施工を予定した。
神谷は崩壊土砂防護柵工490mを計画。25年度は26・5mの施工を見込んでいる。
新規11カ所は測量や地質調査、詳細設計を実施し、構造形式や工法を具体化。新規は重点整備箇所として▽下流域に小中学校や高齢者施設など要配慮者利用施設が立地▽地区センターや公民館など地域防災計画で避難場所に位置付けられている―から抽出した。
ソフト事業では約9700カ所の土砂災害警戒区域の見直しや計画区域への看板設置、土砂・洪水氾濫の恐れのある対象流域の抽出作業を実施。
砂防関係施設長寿命化修繕計画の見直しは建設技術研究所に委託。25年度末にも新計画を策定する。現計画には堰堤等砂防施設860、急傾斜地崩壊防止235、地すべり防止20、雪崩防止8の計1123カ所が盛り込まれ、健全度をA(健全)、B(経過観察)、C1(要対策・本体保護施設)、C2(要対策・本体構造)に区分。国が22年度に創設した砂防メンテナンス事業の採択要件となっているほか、新計画ではライフサイクルコスト(LCC)を踏まえて策定する見通し。