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【道路陥没】検討委が第2次提言手交/中野国交相「全力で対策を」

2025/05/29 本社配信

 埼玉県八潮市の道路陥没事故を踏まえて国土交通省が設置した対策検討委員会の家田仁委員長(政策研究大学院大学特別教授)が、第2次提言を中野洋昌国交相に手渡した。第2次提言は、作業の安全確保を重要視したうえで、自治体の技術者不足を考慮した新たな連携体制『人の群マネ』、財源不足で更新を先送りしないための『段階的な上下水道使用料改定』などを提案。提言を受けて中野国交相は「事故を絶対に繰り返してはいけない。提言をしっかり受け止め、全力で対策をやっていく」と家田委員長に伝えた。

 提言で示された『人の群マネ』は、下水道を管理する自治体の技術職員が群となって自治体間で協力することを提案している。『段階的な上下水道使用料改定』は、更新投資を停滞させないための財源案として、利用者負担の適正化の必要性を掲げている。また管路内部の危険性を伴う過酷な作業環境を考慮して、無人化・省力化によるDXを進めるよう提示している。

 提言についての説明で家田委員長は、2012年に発生した笹子トンネル落下事故後、橋梁や道路など『目に触れることができる施設』を対象にインフラメンテナンスの取り組みを進めたことについて触れ、「目に見えないところにこそ課題が潜んでいる」と指摘した。さらに「それは調べることも難しいが、挑戦しなければならない」と述べ、「インフラマネジメントの第2ステージに入らなければいけない」と話した。

 また家田委員長は下水道を管理する自治体の財政事情にも言及。「財政条件は非常に厳しい。料金を必要な額にまで上げることができないという苦しみの中で安全を確保しなければならない。財政が苦しい中では安価な方法で調べることに陥りがち」と述べ、「問題があるものは何としても補修する、あるいは使用制限をかける覚悟を持ってやらないと、こういう事態が再び起こらないとは限らない」と強く訴えた。

 中野国交相は、安全性確保の最優先や社会の理解、メリハリをつけた対策の必要性を確認したうえで「大変に重要な提言をいただいた」と感謝の言葉を述べた。

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