令和5年台風13号を受けて県や周辺市村が取り組む二級河川の緊急対策や県北地域における「流域治水プロジェクト」について、進捗状況や本年度の対応が明らかになった。県が実施する里根川・関山川・関根川では、調節池整備に向けた測量・地質調査および設計に着手。里根川・大沼川・鮎川では、河道掘削等を実施する。関係市による対策では、日立市が数沢川改修、高萩市は境川等で浚渫の実施を予定する。5月30日には協議会が開かれ、取り組み内容を協議・共有した。
同協議会は、県内の二級水系において、流域全体で取り組むべき治水対策の内容を「流域治水プロジェクト」として策定し流域治水を計画的に推進するために設立。当日は、県河川課、県常陸大宮土木事務所、県高萩工事事務所のほか、流域自治体から日立市、高萩市、北茨城市、東海村らが出席した。
令和5年台風13号による緊急対策として、里根川・関山川・関根川では、調節池整備に向けて、24年度に必要調節容量を算出するなどの治水検討を実施。本年度は、整備計画変更に向けた国との協議を継続するほか、測量・地質調査および設計に着手。現地説明会も実施する。
河道掘削等を計画している里根川や大沼川など(9河川)では、対応が必要となる箇所の設計を進め、里根川・大沼川・鮎川では工事を実施する。
既存調節池等を活用する関山川・塩田川では、24年度に流出抑制対策の検討設計を実施。本年度には、測量・地質調査および設計を行うほか、宅地開発調整池など既存施設による活用拡大の検討を継続する。
関係市による対策として、日立市では数沢川改修工事に着手。高萩市では境川等で浚渫を実施する。北茨城市においては、準用河川等において現地調査を踏まえた浚渫を実施する。さらにいずれの市も田んぼダムの導入に向けた検討を進める。
流域治水プロジェクトとして取り組む洪水氾濫対策では、24年度に県高萩工事が里根川・花貫川・十王川および小石川において護岸改修工事を、大北川においては河道掘削工事を実施。
今後は大北川およびその支川において、河道内の土砂掘削や樹木伐採を行い、水位低減を図るとともに、堤防整備を進めていく。
災害の復旧状況(国補災害復旧事業)として、県・市で被災した75カ所(県=29カ所、日立市=8カ所、高萩市=34カ所、北茨城市=4カ所)のすべてにおいて本復旧が完了。出水期前の事前パトロールなど体制を強化していく。
協議会は5月30日に県高萩工事事務所で開催。橋本則保県河川課長は「緊急対策については関係者の皆さまとともに進捗を図ってまいりたい」と呼びかけた。