内閣官房の国土強靱化推進会議は4日、第1次国土強靱化実施中期計画の案について審議し、了承した。今後5年間における防災・減災、国土強靱化の取り組みにおいて指針となるもの。同計画は近く閣議決定となる見通し。
計画期間は2026年度から30年度までの5年間。『災害・耐力変化への対応』『人口減少など社会変化への対応』『事業実施環境変化への対応』を基本的な考えとする。『災害・耐力変化への対応』では、埼玉県八潮市の道路陥没事故を踏まえたインフラ老朽化対策の推進などを掲げる。『人口減少への対応』では、地方創生と国土強靱化の一体的推進を設定。『事業環境変化への対応』では、自動化・遠隔操作化・少人化などを行う。
推進が特に必要となる施策は20兆円強程度の事業規模を想定。取り組みとしては◇防災インフラの整備・管理◇ライフラインの強靱化◇デジタル等新技術の活用◇官民連携強化◇地域防災力の強化―の5分野で計114施策を示している。
同会議では検討を進めていく中で、全都道府県知事、全市区町村長のほか、建設団体加盟の経済団体、医師会、農業団体、消費者団体などに意見を聴取。約4000件の意見が提出され、これらを参考にして計画を策定した。
第1次国土強靱化実施中期計画における主な施策は次の通り。
【防災インフラの整備・管理】
◇中小河川も含めた洪水・内水ハザードマップなど災害リスク情報の充実◇関係省庁の枠を超えた流域治水対策の推進◇障害者・高齢者・子ども・外国人に配慮した災害情報提供の強化◇発災後の残存リスク管理◇予防保全型メンテナンスへの早期転換―など
【ライフラインの強靱化】
◇予防保全型メンテナンスへの早期転換◇広域支援に不可欠な交通ネットワーク連携強化◇上下水道システムの耐震化を始めとした耐災害性の強化◇送電網の強化および自立分散型の電源・エネルギーの活用◇通信システムの災害時自立性の強化―など
【デジタル等新技術の活用】
◇国の地方支分局の資機材充実◇一元的な情報収集・集約・提供システム構築◇フェーズフリーなデジタル体制構築―など
【官民連携強化】
◇生活基盤となる住宅・建築物の耐震化◇密集市街地や地下街の耐震化・火災対策推進◇保健医療福祉支援の体制・連携強化◇立地適正化計画と連携した国土強靱化施策推進◇国土強靱化と地方創生の一体的推進による地域防災力の強化―など
【地域防災力の強化】
◇スフィア基準を踏まえた避難所環境の抜本的改善◇国などによるプッシュ型支援物資の分散備蓄強化◇避難所や教育現場となる学校の耐災害性強化◇避難所における自立分散型電源・エネルギーシステムの構築◇発災時における民間・NPO・ボランティアの活動環境整備―など