いすみ鉄道は、2024年10月4日にいすみ線苅谷踏切付近(国吉駅・上総中川駅間)で発生した車両脱線事故に絡み、安全対策の詳細検討などを踏まえ、再発防止に向けた復旧見通しを明らかにした。利用者の多い大原駅・大多喜駅間に関しては、枕木交換や軌道整備などを進め、27年秋頃の運行再開を目指す。代行輸送費を含む復旧費は、約14億5000万円。大多喜駅・上総中野駅間については、今後、復旧費などに係る調査を進めていく。
古竹孝一・代表取締役社長は、運休期間の長期化について「復旧までの期間の代行輸送をしっかりと確保し、安全対策の徹底を図るよう引き続き全力を尽くす」とした。国吉駅・上総中川駅間に停留していた脱線車両2両については、3日に大多喜駅へ回送した。
大原駅・大多喜駅間の復旧については、事故発生後、早期に事故現場や老朽化が著しい箇所の補修に取り組むとともに、東日本旅客鉄道をはじめとした専門的知見を有する関係機関などと連携し、安全対策の詳細検討を実施した。
県と沿線市町連携/必要な支援を検討
復旧見通しの公表を受け、熊谷俊人知事は「地域住民にとって、鉄道の早期復旧は重要」との見解を示し、「沿線のいすみ市や大多喜町と連携し、復旧に必要な支援を検討していく」とコメントした。
県の当初予算では、いすみ鉄道対策事業500万円を計上し、同額の繰越明許費を定めた。2月定例県議会で熊谷知事は「いすみ鉄道の早期復旧を図るため、鉄道施設維持・修繕に係る補助金を増額する」と述べた。
いすみ線は、大原駅(いすみ市)と上総中野駅(大多喜町)を結ぶ単線区間26・8㎞の路線。特定地方交通線に指定された国鉄木原線を存続するため、県および地元自治体を主な出資者とする第3セクター鉄道の路線として、1988年3月24日に営業を開始した。