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水戸事業所に新開発施設/27年2月完成目指す/日立製作所、日立ビルシステム

2025/06/10 日本工業経済新聞(茨城版)

 次世代エレベーター技術開発を加速させるため、日立製作所と日立ビルシステムは、昇降機(エレベーター、エスカレーター)の開発・設計・製造拠点となる水戸事業所(ひたちなか市)に新開発施設を建設する。設計・監理を日立建設設計(千代田区)、施工者は鹿島建設(港区)が担当。7月に着工し、2026年8月以降に研究開発設備を整備、27年2月の完成・使用開始を予定している。標準型エレベーターの次世代機種の開発や、老朽化したエレベーターのリニューアル需要に応える製品開発を推進する。

 日立製作所と日立ビルシステムは、水戸事業所の「G1TOWER」(ジーワンタワー)を中心とする研究開発施設と、亀有総合センター(足立区)において、昇降機の開発を推進。このたび、同事業所内に新開発施設を建設することで、昇降機の新設・リニューアル製品の開発を水戸事業所に集約して開発を加速させる運びとなった。

 新開発施設は、水戸事業所内(ひたちなか市市毛1070)で地上高213mと日本一の高さを誇るエレベーター研究塔「G1TOWER」に隣接した敷地への建設を進める。

 建物規模は、地上4階建て、地上高49・5m。建築面積が591㎡。事業費については、非公表としているが数十億規模を見込んでいる。

 7月に着工後、計画では26年8月に建物が竣工し、研究開発設備を整備。27年2月の完成・使用開始を予定している。

 新開発施設では、日本国内においてエレベーター新設需要台数の約8割を占める標準型エレベーターの次世代機種と、安全や災害対応などの観点から、需要拡大が続く、既設エレベーターのリニューアル製品の開発を推進する。

 新開発施設を建設することにより、水戸事業所において標準型エレベーターの製品開発を行っている開発塔は、施設の老朽化や耐震基準を満たしていないことなどから解体する方針。それに合わせて、亀有総合センターが行っているリニューアル製品開発の体制を新施設に移行する。

 日立製作所のビルシステム事業における24年度の売上収益は、9326億円に上る。うち6割が中国、3割が国内、残る1割がアジア・中東ほかが占める。現状で、昇降機の販売・製造(コネクテッドプロダクト)が55%、リニューアルや保全サービス、ソリューソンなどを行うビルサービス(リカーリング)が45%となっている。

 同社では、新開発施設の建設を契機として、ビルサービス部門に重点を置き、安全で快適、利用しやすい次世代機種を搭載させることを目指し、開発・製造に取り組んでいく。

新開発施設の完成予想図 新開発施設はG1TOWERの隣接地に建設

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