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【上下水道】国主導で経営広域化/第1次とりまとめ案了承

2025/06/11 本社配信

 国土交通省は今後の上下水道政策について第1次とりまとめ案を作成、10日の有識者会議で審議した。案では、単一市町村による経営にとらわれない経営広域化について、国が主導して加速化することなどを提示。会議では案についておおむね了承、一部を修正したうえで、6月末にも正式に公表となる。

 とりまとめ案では、上下水道事業の喫緊の課題として施設・経営・組織で分類。施設の課題は、老朽化の進行による漏水事故や道路陥没事故の多発、耐震化の遅れを指摘。経営的には人口減少による収入減少、維持管理・更新費の増大。組織の面では上下水道事業に携わる職員減少による組織体制脆弱性の深刻化が示された。

 そのうえで基本認識として「国は確固たる方針で改革を強力に推進」「経営広域化を国が主導して実現」「経営改善・財源確保や適正な受益者負担を改めて考える」などの文言が提示された。『経営広域化』は、経営主体が単一となって施設・財源・人員などの経営資源を一元的に管理する体制。執行体制の強化、経営規模の拡大、一元的なマネジメントがメリットとなる。

 取り組みの方向性としては▽経営広域化へのロードマップや効果を明確化して関係者が速やかに行動開始▽牽引役の都道府県の役割を明確化する▽上下水道一体での経営広域化を推進▽経営課題の見える化(下水道カルテ公表など)▽更新投資を先送りしない適正な料金設定の考え方を明確化する▽官民共創による上下水道の一体的再構築―などが示された。

 同省は第1次とりまとめを踏まえ、関係省庁と連携して必要な制度改正や取り組みに向けて検討を進める。

 有識者会議では、今後10年間の上下水道政策の方向性について段階的にとりまとめを行う。8月~12月には人材確保・育成、強靱化などを議論して年末~年始に第2次とりまとめ。2026年1月からは水質・水循環、脱炭素、技術開発の議論を進め、最終とりまとめを26年8月ごろに行う。

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