県栃木土木事務所は、小山市乙女の主要地方道藤岡乙女線が1級河川思川を渡河する乙女大橋の下部工を進めており、2025年度は第5橋脚(P5)と第7橋脚(P7)を一般競争で第2四半期に発注。残る左岸側橋台(A2)は中層混合処理工法による地盤改良工事を先行。第2橋脚(P2)と併せ26年度の発注準備に備える。
新橋は橋長370mの8径間連続鋼細幅箱桁。幅員は12m(車道3・25m×2車線)で、歩道は小中学校のある上流・北側に2・5mを確保する。下部工は場所打ち杭逆T式橋台2基、場所打ち杭小判型壁式橋脚7基。両岸の盛り土区間は中層混合処理工法とプレロードを併用した地盤改良工事を実施する。
乙女大橋の架設位置は地盤が軟弱なため、杭基礎により下部工を安定させる。橋台と橋脚の基礎は場所打ち杭φ1500を6~9本で固定。うち澪筋の左岸側3基の橋脚と橋台が深度42~43m、右岸側4基の橋脚は深度36~37mで施工する。下部工は工期の長いものから先行的に施工した。
新橋は自転車の通行を考慮し南側の路肩を1・5mで計画。架設位置は現橋の下流・南側に近接並行して整備する。
両岸の管理用通路とは平面交差。アプローチ部で盛り土が必要になり地盤改良工を実施。延長は右岸90m、左岸が120m。盛り土により右岸側で交差する市道4191号、4192号、4193号は付け替え集約しボックス工により立体交差で計画。左岸側で乙女小学校にアクセスする242号線とは高低差が生じ接道させない。
用地調査の完了後は境界確認を経て物件調査、用地取得。工事は用地取得の必要がない河川内橋脚を先行させた。
工区は一般県道萩島白鳥線交差点から乙女小学校東側の間々田乙女土地改良事務所付近まで1300m。一般部の道路と橋梁詳細設計を富貴沢建設コンサルタンツ、地盤解析はシー・アイ・エスが担当。
工区1300mは起点側萩島白鳥線交差点から交差点改良を含む現道拡幅部、現道タッチを含む取り付け道路部、橋梁部、現道タッチを含む取り付け道路部。
道路法線のうち現橋南側へ架設する橋梁部は▽仮橋設置が不要▽安全性が高まる道路線形―が理由。架け替えに当たっては、現橋の通行を確保しながら下流側に新橋を整備。新橋開通後に現橋と側道橋を撤去する。
両岸の取り付け道路部は、新橋の位置に合わせて現道に取り付ける。現道拡幅部では路肩の幅が狭く、取り付け道路部と同じ横断計画で、萩島白鳥線交差部まで整備する。
乙女大橋は大型車両の通行が多く、車道が狭くセンターラインもないため、交互通行に支障を来している。架設は1955年度と建設から約70年が経過。老朽化による安全性の確保に加え、近年多発する集中豪雨など自然災害への対応から架け替えを決めた。
現橋は橋長367mで、幅員が車道のみ5・5m。上部形式のうち右岸側4~16径間がRCゲルバーT桁、左岸側1~3径間はPCポステン桁の複合形式による16径間。下部工は重力式橋台2基とRC壁式橋脚15基で構成し、最大支間長は31・8m。
沿道には乙女小学校や乙女中学校が立地。県は通学路としての利用や自転車・歩行者の安全を確保する目的で、90年度に上流側へ8径間の橋長365・54m、幅員3・3mの側道橋を架設した。
乙女大橋の30年度交通量予測は1日当たり4139台。小山市の洪水ハザードマップで思川西部地区の避難経路にも指定されている。