県測量設計業協会(吉竹行仁会長)は13日、2025年度災害復旧事業技術者講習会を松本市音楽文化ホールで開催した。協会の主要事業の一つで、会員企業の技術者など500人が参加。県や民間企業のほか、今回初めて気象庁から講師を招へいし、終日かけて災害復旧事業の進め方や調査・設計に関する技術、発生の切迫性が高まる南海トラフ地震への備えなどを学んだ。
この講習会は災害復旧事業に関する知識・技術の向上を目的に毎年開催しており、建設コンサルタンツ協会関東支部長野県地域委員会と日本補償コンサルタント協会関東支部長野県部会が共催している。
冒頭、吉竹会長は日頃の協会活動への理解と協力に謝意を伝え、「この講習会は長い歴史があり、私たちも講習会を通じて知識や技術を身に付け、さまざまな災害を乗り越えてきた。最近では『長野県の技術者は災害復旧の技術、段取り等、色々な面で長けている』という評価をいただく」と紹介。
「災害復旧事業は発注行政からの指示で行うというよりは、我々が行政の領域まで参画すべき時代が来ていると思う。国では抜本的な災害協定の見直しや、調査設計業に民間のTEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)としての役割も期待している。心を引き締め、しっかりと参画できるよう、この講習会や皆さんの生涯学習を通じて対応していきたい」と思いを語った。
続いて県建設部河川課の清水範浩企画幹が栗林一彦建設部長のあいさつを代読。「近年、気候変動の影響などにより自然災害が頻発し、その規模も大きくなっている。長野県では幸いなことに昨年、一昨年と比較的穏やかな年であったが、急峻な地形や脆弱な地質状況などから自然災害を受けやすく、これまでに幾度となく大きな災害を経験してきた。災害が発生した場合、公共インフラ基盤と携わる私たちは、被災箇所の早期復旧に努めなければならず、災害復旧に携わる皆さんの役割は極めて重要。過去の災害から得られた経験や知識、教訓を生かし、被災箇所、状況に応じた正確な測量と適切な設計の実施とともに、最新の技術を積極的に取り入れ、業務の効率化・迅速化も求められるなど、より高度な技術が必要されている。講習会を通じて災害復旧に関する知見を進化させ、さらに新たな知識を習得し、業務に生かしていただくを期待している」と述べた。
講習会では行政から招へいした県建設部河川課、林務部森林づくり推進課の職員や、長野地方気象台の山崎一郎南海トラフ地震防災官が、それぞれのテーマで講義。県河川課の木村直人氏は過去の災害査定状況について「昨年の決定箇所数は100件に満たず、近年では最少だった。ただし、梅雨や台風時期以外の災害も増えている」と解説した。
このほか高見澤、いとう、セキド新潟上越といった民間企業からも講師を招き、新技術などについて学んだ。