国土交通省はBIM/CIMの推進に関連し、3次元モデルの工事契約図書化を目指している。2025年度は課題把握のための試行工事を行う。件数は100件程度を見込んでいる。
3次元モデルを活用した設計の効果としては、設計精度が向上するほか、視覚的に理解しやすいことから情報伝達効率化、技術的検討の時間短縮につながると見られている。
一方、現状では設計段階で3次元モデルを作成しても、工事契約時には契約図書ではなく参考資料扱いとなる。3次元モデルで工事を実施しても2次元図面の修正が必要となり、非効率な場合もある。
このため同省では25年度に課題把握や2次元図面削減の検討に向けて試行工事を行う。現時点では土工の数量算出が2次元と3次元では異なる結果が出る見通し。
3次元モデルを工事契約図書として活用することについて、今後のスケジュールは26年度に試行を拡大。さらにガイドラインを作成する。27年度以降は2次元と3次元の連携確認モデルのみ本格導入とする方針。
また3次元モデルの活用においては、2次元図面との整合確認という課題もある。互いに連動するよう作成してあれば整合確認は不要だが、別々に作成した場合は整合確認が必要。24年度の整合確認試行(86件)では、確認方法に統一性がなく、精度も低かった。このため整合確認方法のルール策定についても同省では検討を進める。
◎効率化に向けた検証も
同省では3次元モデルの工事契約図書化による効率性向上のため、山梨県内におけるトンネル工事で試行・検証を行う。
甲府河川国道事務所が発注する同工事は、老朽化した国道20号の新笹子トンネルの隣接地に延長3・3kmの新たなトンネルを整備するもの。23年度に工事契約済。
同工事では監督検査や変更協議の効率化を目的とし、杭口部について3次元データの活用を27年度に試行。受注者へのアンケートを実施し、その効果について検証する。
試行内容は、監督検査については杭門工完了後に点群データと3次元設計モデルの差分で出来形を評価。変更協議については出来形・変更事項を基に3次元モデルを更新し、自動で数量を算出する。