群馬県建設業協会(青柳剛会長)は18日、時間外労働と生産性、実質事業量に関するアンケート調査結果を明らかにした。昨年度の利益率が過去3年の平均値と比べ減少したと107社が回答。利益率減少について、公共土木工事、民間建築工事ともに「賃金の上昇」「完成工事高の減少」「下請代金の上昇」を共通の原因として挙げる。公共土木工事では「働き方改革による労働時間の減少」を挙げる企業も多く、事業量の増額確保に加え、柔軟な働き方の推進が必要となる。民間建築工事は「価格転嫁ができない」と回答した企業が突出して多く、いかに適正な価格転嫁を推進できるかがポイントとなる。【6面に関連表】
会見で青柳会長は「20日から始まる県土整備部長との意見交換会や知事との意見交換会での資料として、このアンケート結果を活用していきたい」と話し、発注者側にも周知を図っていく考えを示した。
昨年度の完成工事高が過去3年の平均値と比較して「減少した」または「大きく減少した」と約38%の企業が回答。完成工事高が減少した理由として公共土木工事の減少を最も多い約82%の企業が挙げた。主な理由に群馬県や市町村が発注する工事の受注件数や1件当たりの工事請負金額の減少が挙がり、公共土木工事の事業量を増額確保していくことが最も重要としている。
公共土木工事の利益率が減少した理由で最も多かったのは労務費(技能者賃金)の上昇となり、次いで◇完成工事高の減少◇下請代金の増加◇時間外労働上限規制などの影響による労働時間減少に伴う工期の延長-と続く。民間建築工事において利益率が減少した理由として、注文者に対して資材価格高騰などの価格転嫁が十分にできないことを挙げる企業が最も多かった。次いで◇下請代金の増加◇労務費(技能者賃金)の上昇◇完成工事高の減少-と続く。
利益率減少の公共土木工事、民間建築工事共通の原因として◇賃金の上昇◇完成工事高の減少◇下請代金の上昇-がある。公共土木工事では、働き方改革による労働時間の減少も利益率減少の要因の一つとなっており、事業量の増額確保に加え、柔軟な働き方の推進を行っていく必要がある。
一方、民間建築工事においては注文者に対して資材価格高騰などの価格転嫁ができないといったことが利益率減少の要因となっている。そのため、適正な価格転嫁を推進していくことが今後重要となる。
利益率が減少したと回答した107社の内訳は◇完成工事高も減少=74社◇完成工事高が増加=7社◇変化なし=26社-。完成工事高が減少しなくても利益率が減った企業は約3割の33社に上るなど、厳しい経営を迫られている企業が出始めている状況も明らかになった。