国土交通省は、経営事項審査の改正を検討している。6月30日の有識者会議・中央建設業審議会では、経審の『その他審査項目(社会性等)(W)』の部分について、技能者を大切にする企業の自主宣言に関する項目追加、建設機械の保有状況の対象拡大、社会保険未加入項目の削除など、改正の方向性が示された。今後さらに詳細を詰め、12月までに行われる次回会合で結論を出す。
中建審で示された改正の方向性は次の通り。
【自主宣言の宣言状況】
『技能者を大切にする企業の自主宣言』について、審査基準日以前に宣言し、ポータルサイトに宣言が掲載されている場合に5点を加点。宣言の必須項目は①労務費の確保・行き渡りの取り組み②CCUSの活用(就業履歴蓄積)③宣言企業との取引優先―。自主宣言掲載開始日(2026年12月)以降の改正を予定している。なお就業履歴蓄積については、これまで『民間工事を含む全ての建設工事で実施した場合』に15点、『全ての公共工事で実施した場合』に10点となっている。この配点を、同じく26年12月以降は10点と5点に、それぞれ5点ずつ減らす。
【建設機械の保有状況】
現行は災害復旧対応に使用され、定期検査で保有・稼働を確認できる代表的な9種類としている。これについて▽災害時に活用された実績が相応にある▽能登半島地震の応急復旧工事で活用された建設機械―を加点対象とする。対象については今後アンケートを実施することとしている。
【社会保険未加入】
20年10月1日以降、建設業許可の要件で社会保険加入が追加されている。現行の経審では社会保険加入状況を審査しているが、建設業許可と重複した内容の審査となるため、審査対象項目から削除する。ただし申請事務の混乱を避けるため、改正時期は他の改正検討項目の状況を踏まえて検討する。