県建設業協会安蘇支部(木村光伸支部長)と足利支部(蓼沼法彦支部長)は6月26日、関係機関とリモート形式の道路河川等管理情報システム伝達訓練を実施した。県安足土木事務所、両支部と災害時応急対策実施協定を締結している晃洋設計測量、佐野、足利の両市、警察、消防から76人が参加。システム操作や互いの連携を確認した。
主催者を代表し、蓼沼支部長は「今後予想される大規模災害の被害を最小限に抑えることが地域の守り手としての社会的使命。関係機関と必要な情報を共有し、相互連携で災害時の初動対応力を一層高めていくことが重要。訓練の継続で有事の際に関係機関と適切な情報共有ができ、会員相互の組織力が最大限発揮できるようレベルアップしていきたい」とあいさつ。
佐野友紀所長は「災害の安全管理や迅速な対応、緊急連絡体制の確立などが重要。災害はいつ発生するか分からない。各機関の連携の下、迅速に情報を共有し効率的な初動対応ができるよう備えておかなければならない」と語った。
訓練は足利、佐野の両市で台風による河川の氾濫、土砂災害を観測したと想定。佐野所長は木村、蓼沼両支部長に管内全域の道路や河川、急傾斜地へのパトロールと現況報告を要請した。
両支部員は道路河川等管理情報システムに現場の写真を送信。各担当者が足利管内の松田大月線「馬打峠」、佐野市の柏倉葛生線「琴平峠」で雨量が200㎜に到達し、足利管内の矢場川「後河原橋」、佐野管内の旗川「船越橋」が溢水の危険性があると報告した。安足土木事務所から両峠に通行止め、両橋に土嚢積みの指示がされた。
馬打峠で土砂災害が発生したと想定し、足利支部はドローン調査を晃洋設計測量に依頼。安蘇支部は増水で護岸に被害が発生している船越橋の被害範囲をドローンで確認した。
訓練後、落合充樹安蘇支部副支部長、牛久保一臣足利支部副支部長が結果を報告した。
佐野所長は「システムに一部トラブルが生じ、情報共有に時間を要した。訓練でのトラブルは今後の良い教訓になる。災害時の迅速な情報共有のため、システムをどう活用するかが今後の課題。有事の際に訓練で得た成果を生かせるよう、引き続き連携していきたい」と講評。
手塚真人栃建協技術部課長は「初動の情報伝達こそが減災の鍵という認識を改めて共有でき、意義深い訓練だった。迅速で確実な体制整備の実現のためにも、皆さんの協力をお願いする」と評価した。
木村支部長は「本格的な出水期を迎えるにあたり、梅雨末期の豪雨や台風の影響による異常出水、暴風被害が想定される。今回の訓練の成果を生かした迅速で的確な現場対応で被害を最小限に抑えていきたい」と謝辞を述べた。