県峡南建設事務所身延支所(河野輝昭支所長)は、2025年度の主要事業をまとめた。このうち道路事業では、富士川身延線・井出の道路改良工事、高瀬福士線・町屋の道路改良工事、身延線・門内の電線共同溝工事のほか、南アルプス公園線の道路法面防災対策、早川大橋の橋梁補修・小内船橋の耐震化工事、赤垂トンネルの補修などの防災・減災事業を推進する。河川砂防事業では、福士川・河川改修事業、中沢川・通常砂防事業、薬袋・急傾斜地崩壊対策事業を推進するほか、管内河川の浚渫、伐木事業も引き続き進める。
【道路事業】
◆富士川身延線・井出
道路事業の富士川身延線・井出は、一級河川・富士川を挟んで国道52号と併走している富士川左岸地域の通勤や通学の生活道路であり、災害時の緊急輸送道路に指定されている。
このうち南部町下井出~JR井出駅間は、JR身延線と富士川に挟まれ、河岸段丘の急峻な地形上にあり、幅員が狭い上に視距の確保が困難となっている。
事業経過として全体約1・6㎞のうち、Ⅰ期分の約800mについては、2023年3月に供用開始を行った。
Ⅱ期分としての約800mについては、橋梁耐震補強工事、道路改良工事に着手しており、引き続き、改良工事などを行い、29年度の完成を目指す。
◆高瀬福士線・町屋
本路線は沿線に点在する集落と南部町役場を結ぶ唯一の生活道路であるとともに、当地域の主要幹線道路である国道52号や中部横断自動車道へのアクセス道路としても重要な役割を担っている。
このうち南部町福士~町屋は、幅員が狭く、通学路にもかかわらず歩道が設置されていないことから、Ⅰ期分として12年度に事業着手し、約400mについては、22年度に完了した。
現在、Ⅱ期分として約200mについて事業を進めており、30年度の完成を目指す。
◆身延線・門内
身延山久遠寺周辺は重要な観光資源であり、久遠寺に通じる本路線で通行の妨げとなっている電線類を地中化することで、安全な通行を確保するとともに、沿線商店街の景観の向上を図る。
身延Ⅰ工区の約100mについては整備が完了し、現在、身延Ⅱ工区の約200mおよび身延Ⅲ工区の約250mについて事業を行っており、身延Ⅱ工区は27年度、身延Ⅲ工区は30年度の完成を目指す。
◆道路防災対策
継続的に事業を実施しており、引き続き本年度も南アルプス公園線、富士川身延線を中心に対策工事の発注および要対策箇所の設計を並行して行う。
◆橋梁補修・橋梁耐震化
継続的に事業を実施しており、引き続き本年度も、早川大橋(南アルプス公園線)補修工事、小内船橋(富士川身延線)耐震補強工事など、設計を並行して行う。
◆トンネル補修
継続的に事業を実施しており、引き続き本年度も、赤垂隧道、小樺隧道補修工事(南アルプス公園線)など、設計を並行して行う。
【河川砂防事業】
◆福士川河川改修事業
福士川は、南部町を東西に流下し、富士川に合流する流域面積57・3㎞平方m、流路延長10・0㎞の一級河川である。
過去に台風による豪雨により著しい水位の上昇や、一部に浸水被害が発生したことから、21年度に河川改修事業を立ち上げ、本年度は南部町福士地内において右岸の大型ブロック積工事を進め、早期の完成を目指す。
このほか、維持管理工事等に加え、管内の58河川において、洪水浸水想定区域図の作成を行っており、ソフト対策も進めている。
◆中沢川通常砂防事業
中沢川は身延町大野地内に位置し、渓岸浸食が進行し、渓床には不安定土砂や転石が堆積している。流域内には砂防施設が未整備であり、保育園や住居が立地していることから、施設の整備を進めており、本年度は砂防堰堤工事を行い、26年度の完成を目指す。
このほか、戸樋の沢(南部町内船地先)など13渓流において、設計、砂防堰堤の新設および改築事業を進めている。
◆薬袋急傾斜地崩壊対策事業
薬袋地区は、最大斜面高100m、最急勾配36度の急傾斜地で、斜面下端に避難所及び用配慮者利用施設である五箇出張診療所(早川町交流促進センター)が存在する。19年度より事業を進めており、本年度は崩壊土砂防止柵工事を行い、早期の完成を目指す。
このほか、小田船原の1(身延町小田船原地内)など12箇所で事業を進めている。
【写真=河野支所長、道路改良工事を進める「高瀬福士線」、道路法面防災対策を進める「南アルプス公園線」、河川改修事業を進める「福士川」、通常砂防事業を進める「中沢川」】