渋川市は、赤城町見立地内と滝沢地内で進めている瀧沢石器時代遺跡の保存整備を本格的に着手する。縄文時代の地形復元のための造成工事第1期について、8月の一般競争入札での公告を目指している。造成工事は4カ年かけて行う計画で、2025年度当初予算で工事費として4225万1000円を計上している。予算計上は1カ年ごとに行い整備を進める方針としている。設計はウッドサークル(東京都中央区)が手掛けた。
国指定史跡である同遺跡の史跡指定範囲は約4・3ha。保存整備事業の第1期は、今回着手する地形復元のための造成工事に加え配石遺構の復元、植生再現、園路整備を複数年かけて整備する計画。
地形復元のための造成工事は4区画に分けて進めていく。今回は1年目として史跡北側の一部を整備する。造成工と水路工、植生工を行う。20年近く前に水田だった土地を買い上げ市有地となっている箇所で、市道も廃止済みとなっている。造成工は、現況で階段状になっている地形を緩やかな傾斜地に史跡として復元する。水路工は、地域の簡易水道と農業用水の付け替えを行う。植生工は、ケヤキの木の養生のための施工と、傾斜地保護も行う。工期については約7カ月を見込む。
造成工事は、北側から着手し、その後西側、南側、東側の順に整備予定。2年目の工事発注は、予算規模と現場状況により発注時期を判断するとしている。
地形復元のための造成工の整備が進んだ段階で、史跡の大地中央部に縄文時代の配石遺構の復元を行う予定。また、縄文時代の植生を再現した植栽ゾーンの整備や、見学や管理のための園路、史跡内の高台には展望広場の整備も計画している。
史跡外のスペースには、駐車場やトイレなどの便益施設、出土品の展示や体験学習のできるガイダンス施設や多目的広場の整備を計画しており、今後整備を進めながら詳細を詰めていく方針としている。
同事業の第2期では、湧水があり、試掘が未実施となっている湧玉地区の造成を計画している。縄文時代の水辺の再現を構想している。
基本設計および地形復元のための発掘調査を21年度にウッドサークルが担当しており、22年度には造成工事の実施設計業務を応用地質(東京都千代田区)がまとめた。また、23年度は史跡境界測量および境界標設置業務を理工技術(渋川市)、支障物撤去工事を南雲建設(渋川市)がそれぞれ担当した。
瀧沢石器時代遺跡は、自然石が並べられた配石遺構や住居跡のほか、長さ1mの大石棒、石剣、岩版などの祭祀用具、石鍬、石匙などの実用品など石製品が多数発見され、本県考古学の端緒を開いたとして評価され1927年に国の史跡に指定された。