国土交通省は『道路土工構造物技術基準』を改定した。改定基準は2026年4月1日以降、新たに着手する設計で適用となる。改定は24年の能登半島地震による被害を踏まえた対応となる。
能登半島地震では、能越自動車道において多くの盛土で被害が発生。国道249号沿岸部では、大規模な地すべり・斜面崩壊により、道路の交通機能の途絶が多発した。改定はこれを踏まえたもので、このほか道路機能を確保する観点からの性能規定充実も目的としている。
道路土工構造物技術基準は、道路土工構造物の新設または改築に関する一般的技術基準。同省では改定により、地盤リスク低減に伴う手戻りやコスト増の緩和、盛土における適切な排水対応、各構造物の限界状態を踏まえた、より復旧性の高い設計や補修が可能となることなどを期待している。
主な改定内容は次の通り。
①道路土工構造物の設計初期段階における配慮事項の明確化=道路機能確保のための配慮事項(地形・地質・地域の防災計画など)を考慮した道路土工構造物の配置の検討および構造型式の選定を規定。
②地質および地盤等の不確実性への対応の明確化=事業の各段階で地質・地盤の不確実性低減に資する必要な調査の実施を規定。また想定する範囲内で同時に作用する可能性が高い荷重の組み合わせのうち、最も不利となる条件を考慮して作用させることを規定。
③排水対策の明確化=排水対策のさらなる強化のため、原則として表面排水施設および地下排水施設を設置する旨を規定。
④性能規定の具体化=道路機能確保の観点から要求される性能に応じた限界状態を、構造物ごと、また構造物の組み合わせに応じてきめ細かく設定。また原則として、想定する作用によって生じる道路土工構造物の状態が限界状態を超えないことを照査。