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【就任インタビュー】国交省 信太啓貴 大臣官房参事官(イノベーション担当)新技術の実装「わくわくする

2025/07/08 本社配信

 6月20日付けで就任した。「建設現場は人手不足という状況にあるが、イノベーション担当として、未来に向けて一緒になってやっていきたい」と抱負を語る。その建設現場の省力化・省人化については「待ったなしと考えている。まずはそこをしっかり進める」。また「メンテナンスを進めても建設業界が持続しなければ災害に対応できない。適正な利潤があれば、働き方も変わってくる。建設現場自体を変えていくことが重要」と話す。

 インフラDXについては「直轄の現場で取り組みを進めていくが、直轄の現場だけ生産性が変わっても良くない。いかに建設業界全体に浸透していくかが重要。裾野の広がりにしっかりと対応していきたい」と述べる。

 イノベーション担当ということについて「土木と機械、電気通信の分野で、足し算ではなく掛け算の対応をしていくことが期待されている。機械や電気通信でやっていることを取り込む中で、工夫が見えてきたり、イノベーションが起きることがあると思う」。さらに技術開発の分野について「基準作りをしていくことが大事。どんどんやっていきたい。技術は日進月歩なので、基準を作って落とし込むのに何年もかかると、それがもっと新しい技術になってる場合もあるので、スピード感を持っていかなければならない」と話す。

 新技術の導入により、建設業と関わりがなかったIT産業も参入してくる。「今までいなかった人たちとコミュニケーションを取るという未知の世界へ踏み出していかなければならない」。そして「新しい技術に興味を持てば、自然と情報が集まってくる。『実装したい』というメッセージが届けば、新しい分野の人たちが技術を持ち込んでくれる」という。

 北陸地方整備局企画部長時代に能登半島の地震が発生。その際、何度も建設業と意見交換を行って対応策を実施した。「コミュニケーションをしっかりと取りながら進めることが大事。役割分担も重要。大手企業にできること、地元企業にできることがある。イノベーションの世界も同じであり、そういう面に配慮して進めたい」と話す。

 新技術を建設現場で実装していくことについては「わくわくする。これからチャレンジする新技術が、5年後10年後のスタンダードになっていく」と述べる。

 本省道路局国道技術課の技術企画官に就いていた時に、技術懇談会を立ち上げて新技術の実装を進めた。「その1年に取り組むべき技術は大体出てきた。仕掛け・仕組みづくりはイノベーションファンドに通ずる」。

 建設業に対しては「人口が減るからこそインフラはより重要度を増していく。国土を隅々まで有効活用するためにも、地域の津々浦々まで生活の基本を支えることが重要。建設業だけではなく全体の生産性を上げるべき。災害時の対応力も上げていく必要がある。しっかりと一緒に取り組んでいきたい」とメッセージを送る。

 趣味はプロ野球観戦で、北海道日本ハムファイターズのファン。6月には念願だった本拠地エスコンフィールド(北海道北広島市)にも行くことができた。


【略歴】のぶた・ひろたか 1997年北海道大学大学院土木工学専攻修士課程修了、北海道開発庁入庁。関東地方整備局高崎河川国道事務所長、道路局国道技術課技術企画官、東北地方整備局道路部長、北陸地方整備局企画部長を経て6月20日から現職。52歳。北海道出身。

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