厚生労働省は、建設業における1年単位の変形労働時間制の活用に関するパンフレットを作成し、国土交通省と連名で全国建設業協会など建設業団体に向けて送付した。両省ではパンフレットを活用した同制度について、会員企業に周知するよう呼びかけている。
1年単位の変形労働時間制は、季節によって業務に繁忙・閑散が大きい場合、繁忙期には長い労働時間を設定、閑散期には短い労働時間を設定するなど、年間を通じて労働時間を効率的に配分するもの。これにより年間の総労働時間の短縮を図ることが目的となっている。
建設業の場合は、猛暑や寒冷・多雪地域における冬季休止期間など自然的要因で稼働できない期間が想定される際に、同制度を活用することで労働時間を柔軟に設定することができる。
同制度では、1年間を平均して1週40時間となる範囲でシフト作成ルールに沿って、労働時間に差をつけることが可能。積雪が著しく高い地域では、建設業の屋外作業者向けにシフト作成のルールに特例(積雪特例)が設けられている。
シフト作成のルールは①労働日数は年間280日まで②連続労働日数は原則6日まで(特に繁忙の場合は12日まで)③労働時間は1日10時間、1週52時間まで④労働時間が48時間を超える週は連続3回まで―など。
1年単位の変形労働時間制を導入する場合は、就業規則に規定するほかに労使協定を締結し、労働基準監督署に届け出る必要がある。