建設労務安全研究会(細谷浩昭理事長)は9日、東京建設会館で会見を開き、正副理事長が労働災害に対する見解とともに、事業計画を示した。本年度は、各種の情報収集と提供、諸問題の調査・対応策の研究に加え、外部講師を招いての講演会やセミナー、行政・関係団体との意見交換会などを実施していく。
細谷理事長は「ヒューマンエラーは結果であり、原因ではない。勘違いや思い込み、言ったつもり・聞いたつもりなどコミュニケーションの問題が災害を引き起こす要因となる。ちゃんと伝わったかを確認しあう確認会話を取り入れ、確実に情報が共有される現場をつくりあげることが現場の安全対策において不可欠」と話す。
さらに「人はミスをする、という前提に立ち、設備面からも安全を確保する本質安全化でより強固な災害防止策になる。また安全は絶え間ない努力と訓練によって築かれる」と述べた。
稲直人副理事長は「熱中症も重篤化すれば亡くなる、ということをしっかりと伝えなければならない。報告しやすい環境と早期の対応が必要。また現場の何が危険なのか、個人個人が危険を認識し、危険への感受性を高めていけば、労働災害の減少につながるのでは」と警鐘を鳴らす。
小澤重雄副理事長は「ヒューマンエラーを起こす原因を深掘りし、改善していかなければならない。災害件数などに目がいきがちだが、どういう災害なのか、原因をつぶしていくことが災害防止につながる。安全に行動できる人を育て、増え、根付けば」と語った。
来年の設立80周年に向けては、80周年編纂委員会を立ち上げ、記念誌の編纂を進める。