県企業庁地域整備部ニュータウン整備課と独立行政法人都市再生機構は、千葉ニュータウン事業の見直しを実施する。見直しでは、複合的な土地利用の導入や国道16号復インターチェンジの形状の見直しなどを実施する予定。今年度で都市計画、事業計画の変更の手続きを行い、今年度内の都市計画決定を目指す。また、計画の見直しに伴い、今月22日と23日の両日で地元説明会を開催する。22日は白井市の白井駅前センター、23日は印西市のふれあい文化館でそれぞれ午前10時からの開催を予定している。
事業の見直しは、01年度にまとめた「千葉ニュータウン事業の見直し方針について」に基づき2段階に分けて実施するもので、04年度に第1段階の見直しを行った。第1段階では、事業期間を10年延長(2013年度)するとともに、計画人口、計画戸数を縮小した。今回の見直しは、第2段階の見直しに着手するもので、厳しい状況の立て直し、事業の早期完成、北総地域の振興を目指して行われる。
見直しの主な内容は、土地利用計画と道路計画の2点。土地利用計画では、複合的な土地利用の導入、小中学校などの配置の適正化、公園の配置及び歩行者専用道路などの見直しを行い、道路計画では、国道16号復ICの形状、県道千葉ニュータウン北環状線の船橋印西線以東の計画、印西牧の原北側地区計画道路、の3項目について見直しを実施する。
千葉ニュータウン事業は、県と独立行政法人都市再生機構との共同施行により事業を行っている。県が計画の立案、用地取得、地元対策などを行い、都市機構が宅地造成、公共公益施設整備などの基盤整備を実施。現在の計画人口は15・3万人で、計画戸数は4万9400戸。総事業費は1兆2000億円を見込む。
以下、千葉NT事業計画見直し案の内容は次の通り。
■千葉ニュータウン事業計画見直し(案)■(千葉県企業庁、独立行政法人都市再生機構)
【千葉ニュータウン事業の経過と状況】
千葉ニュータウン事業は、昭和30年代後半からの高度経済成長に伴う人口増加を計画的に受け入れるとともに、北総地域の中核となる都市の建設を目指して、1969年に2912ha、計画人口34万人で千葉県施行の新住宅市街地開発事業として事業に着手した。78年度には、宅地開発公団(現在の都市再生機構)が事業の共同施行者として参画し、86年度には、経済社会情勢の変化と内在する用地問題に対応するため、事業区域を1933haに縮小した。千葉ニュータウンの足となる北総鉄道については、79年3月に北初富~小室駅間が開通し、00年7月に印旛日本医大駅までが開業した。
千葉ニュータウン事業の計画は過去9回の変更がなされており、現時点の事業計画は次のとおりとなっている。<1>面積1933ha<2>人口15万3000人<3>事業施行期間64年度-13年度まで<4>事業費約1兆2000億円。
05年3月末の進捗状況は次のとおりである。<1>造成工事完成率約87%<2>宅地処分率約59%<3>居住人口率約53%(約8万1000人)<4>公共施設整備:道路約59%、公園緑地約50%、下水道約76%、河川約70%。なお、05年3月末の施設等誘致状況は、民間企業等57社、国等の機関3事業所、大学2校が立地している。
【千葉ニュータウン事業をとりまく情勢】
千葉ニュータウン事業は、事業の長期化により社会経済情勢の変動を強く受けてきた。特に近年は長引く不況や少子高齢化の進展、土地価格の下落などにより土地分譲の低迷を招き、事業環境の厳しい状況が続いている。また、新住事業者の経営環境も変化している。一方では、2010年の成田新高速鉄道の開業や北千葉道路計画の事業化などにより、千葉ニュータウンの立地ポテンシャルが高まるとの期待感もでてきたところである。
【見直しの基本的な考え方】
千葉ニュータウン事業については、厳しい状況を立て直し、事業の早期完成及び北総地域の振興を図るために、前述した諸情勢の変化や新たな動向に的確に対処する必要がある。このため、02年3月に「千葉ニュータウン事業の見直し方針について」をとりまとめ、事業計画の見直しを2段階に分けて行うこととし、第1段階としては事業期限の延伸とともに、当面の事業推進に必要な土地利用計画及び資金計画について見直しを実施し、03年度末に事業計画の変更を行った。今回の第2段階の見直しは、事業期間内(13年度まで)に新住事業を確実に収束させるとともに、北総地域の中核都市にふさわしいまちづくりを実現するため、以下の考え方を基本として行う。<1>04年3月に千葉ニュータウン・ステップアップ2010研究会(委員長大西東京大学教授)からの知事への提言を踏まえ、ベッドタウンからの脱却や民間活力の積極的な導入を図る<2>新住事業に関わる規制緩和(「新住宅市街地開発法の運用について」05年3月通知)の動きに対応させながら有効な土地利用を図る<3>幹線道路等のネットワークついては、86年度の事業区域の縮小及び千葉ニュータウンを取り巻く状況を踏まえ適正化を図る。
【主な見直しの内容】
▽土地利用計画について=<1>新住法の規制緩和の動きに対応した複合的な土地利用(例:公益的施設用地&特定業務施設用地)を導入する<2>特定業務施設用地及びその他公益的施設用地については、現況の土地利用等を勘案して見直す<3>教育施設については、小中学校等の配置の適正化を図る<4>土地利用に合せ、公園の配置及び歩行者専用道路等を見直す。※上記土地利用の変更に伴い、必要に応じ用途地域等の変更、地区計画の設定および変更を行う。
▽道路計画について=<1>国道16号復インターチェンジの形状を見直す<2>県道千葉ニュータウン北環状線の船橋印西線以東の計画を見直す。
▽印西牧の原北側地区の都市計画道路を見直す。なお、見直しについては、06年度に都市計画変更手続きと事業計画変更手続きを行う予定である。