就任の抱負として「道路がネットワークになった時の力は多様なものがある。安全安心を確保するため、しっかりとネットワークをつなぐ」と語る。
国土強靱化については「国民の生命・財産を守り、社会経済を支えるインフラの役割を果たすべく、取り組む」。建設から50年を経過する道路施設は加速度的に増加する。こうした道路の老朽化対策については「これまでの事後保全型から、今後は損傷が軽微な段階で補修する『予防保全型』への早期転換を図りたい」と話す。
埼玉県八潮市では下水道管路劣化を起因とする道路陥没事故が発生した。「今まで見えなかったところで静かに老朽化が進んでいる。点検はしていたが見きれてなかった。そういうところはメリハリをつけてやっていく必要がある」。
国交省では自動物流道路の議論が進み、最終とりまとめも公表された。今後は技術開発に向けて実証実験が行われる。「物流危機は待ったなしの課題。有識者や民間企業と連携し、スピード感を持って進める」。
インフラDX化は道路分野でも進める必要がある。「新技術導入やデータの利活用拡大を推進して、維持管理の高度化・効率化を図る」。
道路の脱炭素化は「国が率先して取り組むことで、建設現場の取り組みを牽引する。低炭素アスファルトなどの新技術も活用する」。さらに「循環型社会に向けて建設材料のリサイクル利用も進める」という。
建設業については「インフラの維持管理の担い手、地域雇用の支え手として地域に欠かせない存在。激甚化・頻発化する自然災害に対して災害復旧や防災・減災対策など、業界が担う役割は大きい」と考える。「強靱な国土づくりは、われわれの技術力と業界の行動力を結集させて取り組む必要がある」と話す。
インフラ整備には、地域における建設業の活躍が不可欠だ。「持続可能な産業にするため、受注機会の確保、適正工期の確保にしっかり取り組む」と語る。
週末はジョギングや水泳など、体を動かすようにしている。また「知らない街を訪れて、その地域の歴史を学ぶことも好き」だという。
【略歴】くつかけ・としお 1991年建設省採用。国土交通省道路局高速道路課長、道路局企画課長、大臣官房技術審議官を経て7月1日から現職。京都大工学部卒。58歳。石川県出身。