県下水環境課は2025年度、ウォーターPPP導入可能性調査業務を委託する。委託時期や委託内容など詳細は検討中。現在、28年度の「管理・更新一体マネジメント方式」導入を目指し検討を進めている。導入可能性調査の結果、導入の可能性が認められれば26年度以降にマーケットサウンディングを実施するなど、28年度の導入に向け各種準備を進めていくこととなる。
民間活力の一層の導入に必要な調査を行うため、ウォーターPPP導入に向けた基礎調査業務は24年度に日水コン(東京都新宿区)が受託してまとめた。業務では導入可能性を検討するため、施設の経年劣化状況などの基礎事項について調査を行った。
国は水道、工業用水道、下水道について、PPP/PFI推進アクションプラン期間の22年度~31年度の10年間で公共施設等運営事業(コンセッション)に段階的に移行するため、官民連携方式(管理・更新一体マネジメント方式)を公共施設等運営事業と併せてウォーターPPPに位置付け、ウォーターPPPの導入拡大を促進している。また、汚水管の改築に伴う国費支援に関して、緊急輸送道路等の下に埋設されている汚水管の耐震化を除き、ウォーターPPP導入を決定済みであることを27年度以降に要件化することを示している。
県はすでに民間活力の導入として◇県央水質浄化センター◇奥利根水質浄化センター◇桐生水質浄化センター◇西邑楽水質浄化センター-の運転管理を包括的民間委託契約で実施している。第6期の包括的民間委託契約が満了を迎える4カ所の水質浄化センターについて現在、第7期の包括的民間委託業務を一般競争入札で公告しており、管理・更新一体マネジメント方式の導入は、第7期の包括的民間委託契約終了後となる。
国が示す「管理・更新一体マネジメント方式」の段階的な移行を促す官民連携の要件は◇原則10年の長期契約◇性能発注(原則)◇維持管理と更新の一体マネジメント◇プロフィットシェア(利益を官民で分配)-としている。
「管理と更新の一体マネジメント」には、維持管理と更新を一体的に最適化するための方式として維持管理と更新を一体的に実施する「更新実施型」と更新計画案の策定やコンストラクションマネジメント(CM)により地方公共団体の更新を支援する「更新支援型」がある。
更新実施型の特徴には更新工事を含めて一括で民間に委ねることができ、地方公共団体の体制補完効果が大きいことを挙げている。一方の更新支援型に関しては発注に関係する技術力を地方公共団体に残す。また、実際に維持管理を実施する民間企業等の観点から、より効果的な更新計画案の作成が期待できるとしている。
県企業局水道課が所管する水道や工業用水道については、ウォーターPPPの導入可能性について、情報収集に努めているところ。引き続き、国土交通省や経済産業省が開催する会議や検討会に参加するなど、他県の先進事例やウォーターPPPの知見を深めていくとしている。なお、23年には産経土木常任委員会の県外調査で、上水道・工業用水道・下水道一体の官民連携運営事業に取り組んでいる宮城県を視察した。同事業は水道用水供給事業(2事業)、工業用水道事業(3事業)、流域下水道事業(4事業)における運転維持管理・改築等を対象としている。