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(社)日本建設業団体連合会

ブロック会議・地域懇談会での要望内容総括

1999/12/06 本社配信

 全国建設業協会(全建、銭高一善会長)はこのほど都内の経団連会館で「全国協会長会議」を開き、先月末までに各地域毎に行ったブロック会議・地域懇談会での要望内容を取りまとめるとともに、その後の動向などを含めて、各協会長に報告した。

 また、当日は建設省の尾見博武審議官ら来賓も出席し、各ブロック会議で論議した課題に対する所見を総括するとともに、その後の取り組み状況や、11月11日の経済対策閣僚会議で決定した「経済新生対策」の骨子などを交えて解説した。

 冒頭のあいさつで、銭高会長は「各ブロック会議での論議を通じて発注者と業界の考え方の違いが明確になりつつある。これまでも双方向性の対話を主張してきたが、業界の生の声や社会の考え方を吸収し、課題の解消とより良い政策立案に役立ててもらいたい」と一連の会議における懇談の成果を強調する一方、政府の経済新生対策についての業界サイドの期待を表明した。

 これに対して来賓の岩井参議院議員は今臨時国会で成立が予定されている経済新生対策について説明するとともに、改正中小企業基本法について言及し、「基本法の改正を受けて官公需法の適用範囲も改正される。中小企業に配慮する施策であり、早く各地域の業界が元気にならないと、国全体の経済もよくなっていかない」と法改正の主眼を解説した。

 また、ブロック会議を通じて浮上した、経審、指名契約制度、また低入札価格調査制度などの様々な課題についても地域経済を支える建設業界の健全な発展を促すための支援を行っていく姿勢を表明した。

 前述した銭高会長の「双方向性の対話」を受けてあいさつした建設省建設経済局の尾見審議官は机上論による施策が大勢を占める中で、業界の生の声を聞くことができたブロック会議の場を評価するとともに「発注者、元請け、下請けと連なる生産システムそのものがタテ型の関係であり、権力的になっているものを払拭して、対等の立場のヨコの関係で役割分担してやっていくことが大切」と述べ、今後も出来るだけ多くの機会を持ち、業界側との意志の疎通を図っていきたいとする姿勢を強調した。

 また、同審議官は国の経済新生対策について「景気の回復を安定軌道に乗せるための政策であり、公共から民間中心の需要に切り替える重要な施策」とした上で、経済のフロー効果ではなく、社会資本のストックという本来の議論に立ち戻り社会資本整備が加速されることに期待を表明した。

 同審議官はさらに、一連のブロック会議で取り上げられた課題に対する建設省内部での現在の検討状況について即応するため分類作業を経て、検討を進めている状況を明らかにした。内容は次の通り。

 ①経営事項審査に関するもの=Y指標の補正をどう行うのか。順位の変動等、新経審の結果を見極めていきたい。

 ②低入札価格調査制度=設計価格の60%レベルで受注している実情が明らかであり、発注者側のキチッとした対応が求められている。品質、施工体制等のチェックに疑問もある。都道府県に対する指示が必要。つまり、こうした低価格が安定すると、現状の設計積算が高いという疑念が生まれる。社会的な疑念が浮上しないように危機感を持って対応していく。

 ③受注機会の確保=新しい取り組みが可能か否かを検討。工事ロット、地域要件等の問題を含めて検討しているが、建設省としては不良不適格業者の排除が緊急の課題と考えており、各発注者に対する指導を同時進行させていかねばならない。

 ④監理技術者の専任配置問題=建設現場における施工技術の確保と責任施工が大命題。あらゆる段階での(技術的な)問題を裁いてもらい施工品質を確保してもらわなければならない。厳しい経済環境下での技術者確保という問題もあるが、今後どう対応できるのか検討したい。

 ⑤再生プログラム=省が策定したプログラムは大手ゼネコンを念頭にしたものだが、業界全体に共通するテーマが多く含まれている。経審のグループ評価、原価計算基準等の7項目の問題については年度内導入へ向けて検討中であり、中建審での審議を予定。

 ⑥専門工事業界の再生プログラム作成=元請け業者との関係も出てくるので、検討の過程で調整が必要。生産システムをさらに多様なものにしていくことが大切。年度内に中間答申が明らかになる。

 同審議官は以上のほか、日米建設協議の動向、単体・共同企業体の混合指名導入などについて説明し、あいさつを締めくくった。



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