岐阜県高山市出身で、信州大学大学院農学研究科修士課程を修了し、建設省に入省した。動機は「小学生の頃に近隣で発生した土石流災害の現場を見たことが原体験かも」と話す。進路を決める際、砂防について学べる学校を選び、この道に進んだ。
入省後、最初に赴任した徳島県にある砂防工事事務所在籍時に兵庫県南部地震が発生。斜面点検班として、上司たちとともに震災直後の神戸市内で作業を行った。1996年の蒲原沢土石流災害では発災当日に現地入りし、斜面監視などを行った。土木研究所在籍時には、土砂災害の現場を調査し対策を考える機会を多数得た。これらの経験を通して、施設整備の重要性に加え、普段から災害発生時の対応を意識することの大切さを認識した。
着任後は、まず流域の過去の災害記録などを確認。そして、管内の市町村に出向いた。向かった先では「令和元年東日本台風による災害や近年の雨の降り方のことなどを話される首長の方が多く、安全・安心はもとより、地域経済にも貢献できるような事業となるよう、地域に寄り添って考えることが大事だと感じた」と話す。そして、「利根川上流域の将来の姿を職員と一緒に考えながら砂防の取り組みを進め、地域の皆さまから頼りにされる事務所・出張所を目指したい」と意気込む。
群馬県の印象を聞くと、「渋川から見える赤城山麓や、沼田付近を流れる片品川の大規模な河岸段丘などの特徴的な地形に興味を持った」とのこと。山や温泉が多いとも感じ、「地元の食も楽しみながら各地を訪ねてまわりたい」と笑顔で話した。
事務所職員へは、「雨が降ったときの水と土砂の流れなどを想像する力を養ってほしい。その上で、その現場にふさわしい対策を自分の頭で考える力をつけてもらえれば」と話す。自身の仕事のモットーは「答えは現場にあり」で、常に心に刻んでいる。
趣味は、山歩きと山の写真撮影。大学生の頃から登山経験があり、山小屋でアルバイトをしたことも。群馬県の山を紹介する本も買ったとのことで、「まずは日光白根山に登ろうかな」と表情を緩めた。
県内の建設産業へは、「利根川上流域は首都圏の水源地であり、治水利水や国土保全の上で重要な役割を担う地域。この地域の将来の姿を一緒に考えていきたい。また、建設産業は地域の守り手であり重要な産業。安全管理を含めて技術の研さんをお願いしたく、われわれも後押しをしたい」と語った。