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「第8次千葉県交通安全計画」(06-10年度)の主な施策<1>

2006/05/19 日刊建設タイムズ

 県がこのほど決定した「第8次千葉県交通安全計画」(06-10年度の5か年計画)に盛り込まれた主な施策は次の通り。

 ■道路交通環境の整備■

 交通事故を防止するためには、人と車が安全で円滑に通行できる道路や施設など道路交通環境の整備が必要です。そのため、道路の整備、交通安全施設の整備、違法駐車対策を進めます。

 また、歩行者の視点からの道路整備や身近な生活道路等において、「人優

先」の視点からの交通安全対策を推進します。

 (1)人優先の安全・安心な歩行空間の整備

 <1>生活道路における交通安全対策の推進

 平成19年度までに、県下34の「あんしん歩行エリア」において、道路管理者と公安委員会が連携して、幅広路側帯の設置、カラー舗装等の安全対策、信号機の設置や改良、横断歩道照射式標識の設置等の交通安全施設の整備並びに交通規制の実施により、歩行者や自転車利用者の安全な通行を確保します。

 これにより、平成15年度に社会資本整備重点計画で定められた数値目標(平成19年度までにあんしん歩行エリア内の死傷事故を約2割抑止、うち歩行者・自転車事故は約3割抑止)を目指します。

 また、「あんしん歩行エリア」以外の生活道路においても、必要に応じてハンプ・クランクなど、自動車の速度の抑制、道路の形状や交差点があることの運転者への明示、歩行者、車の通行区分の明示等を進め、それぞれが共存する安全で安心な道路空間を創出します。

 <2>バリアフリー化など歩行空間等の整備

 ア歩道及び自転車道等の整備

 歩行者及び自転車利用者の安全で快適な通行を確保するため、歩行者等の交通事故が発生する危険性の高い区間等について、歩道及び自転車道等の整備を実施します。

 また、通過をする車両の進入を抑え、歩行者等の安全の確保と生活環境を良くするため、コミュニティ道路、歩車共存道路等の整備を進めます。

 イひとにやさしい信号機等の整備

 高齢者、身体障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保するため、ユニバーサルデザインの考え方により、駅、公共施設、福祉施設、病院等の周辺を中心に、幅広歩道、視覚障害者用ブロックの設置や道路標識の、高輝度化・大型化・可変化・自発光化・標示板の共架、統合を行います。

 また、音の出る「音響信号機」等の誰にでもやさしい信号機の整備や信号灯器のLED化の整備に努めます。

 ウエレベーター等昇降装置の設置、スロープ化等の推進

 高齢者身体障害者等の社会参加の機会が増えてくることから、駅、公共施設、福祉施設、病院等の周辺にスロープやエレベーター等の昇降装置が付いた立体横断施設及び自転車等駐車場の整備並びに電線類の地中化を道路改築事業等による整備と併せて進めます。

 エ通学路等の整備

 園児、児童等の安全を確保するため、歩道等の整備を推進するとともに、併せて、歩車分離式信号機の整備等を通じて歩行者優先対策を推進します。

 (2)道路ネットワークの整備と高速道路等の利用促進

 <1>適切に機能分担された道路網の整備

 基本的な交通の安全を確保するため、高速道路から居住地域内道路に至るネットワークによって適切に機能が分担されるよう体系的な道路整備を進めるとともに、他の交通機関との連携強化を図る道路整備を推進します。

 ア高速道路等の整備

 自動車、自転車、歩行者等のそれぞれを分離し、交通流の純化を促進するため、高速道路等から居住地域内の道路に至るネットワーク整備を体系的に進めます。

 イバイパス及び環状道路等の整備

 通過交通の排除と効果的な交通の分散により、都市部における道路の著しい混雑、交通事故の多発等の防止を図るため、バイパス及び環状道路等の整備を推進します。

 ウコミュニティ道路等の整備

 幹線道路等に囲まれた居住地域内や歩行者等の通行の多い商業地域内等においては、歩行者等が安全かつ快適に通行できる交通環境の形成を図るため、人と車が共存できるコミュニティ道路等の整備を促進します。

 エアクセス道路等の整備

 道路混雑の無い円滑な交通環境をつくるため、空港、インターチェンジ等の交通拠点へのアクセス道路の整備を実施します。

 <2>道路改築による道路交通環境の整備

 交通事故の多発等を防止し、安全かつ円滑・快適な交通を確保するため、道路の改築事業を強力に推進します。

 ア道路改築等に併せた歩道等の整備

 歩行者及び自転車利用者の安全と生活環境の改善を図るため、道路の改築に伴い、歩道等の新設・拡幅や交通事故の多発箇所や通学路等について、歩道等の整備を進めます。

 また、自転車交通の安全を確保するとともに、自転車利用の増大に適切に対応し、併せて住民の心身の健全な発達に資することを目的として大規模自転車道の整備を図ります。

 イ交差点の立体交差化の推進

 交差点及びその付近における交通事故の防止と交通渋滞の解消を図るため、立体交差化等を推進します。

 ウ交通安全施設の整備

 道路の改築等にあたっては、交通安全施設についても併せて整備することとし、信号機、道路標識、中央帯、車両停車帯、道路照明、防護さく等の整備を図ります。

 また、歩行者の安全を確保するため必要がある場合には、スロープやエレベーター等の昇降装置の付いた立体横断施設の整備を図ります。

 <3>高速道路等の利用促進

 一般道路に比べて安全性が高い高速道路等の利用を促進し、交通事故の減少を図ります。そのため、高速道路等のETCを活用したサービスの拡充、インターチェンジの増設等を実施し、高速道路等のより利用しやすい環境の整備を促進します。

 (3)交通安全施設等の整備推進

 <1>歩行者等の安全通行の確保

 ア効果的な交通安全施設等の整備

 交通情報管理システム等による詳細な事故分析に基づき、信号機や大型標識の設置、高輝度道路標示の整備等、効果的な交通安全施設の整備等を推進するとともに、その施設等が適正に機能するよう管理していきます。

 イあんしん歩行エリア形成事業の推進

 あんしん歩行エリア内において、総合的な事故抑止対策を実施し、エリア内の死傷事故の抑止を図ります。

 ウ信号機の設置及び改良の推進

 広く県民から寄せられている信号機の設置要望に対し、必要性、緊急性等を総合的に勘案し、信号機の新設整備を推進します。

 また、既に設置されている信号機についても、交通流(量)の変動等に対応した改良を推進し、交通の安全と円滑の確保に努めます。

 エ交差点・カーブ対策の推進

 交通事故発生の危険性がある交差点・カーブ区間に対して適切な交通規制を実施していくとともに、ドット線や視線誘導標の設置等を推進します。

 オ夜間事故防止対策の推進

 夜間における交通死亡事故の発生率が高いことから、道路照明等の設置と併せ、高輝度道路標示、灯火式道路標識及び横断歩道照射式道路標識の整備を推進します。

 <2>国道・県道等における交通の安全と円滑の確保

 死傷事故発生率が高く、又は死傷事故が多発している交差点等を事故危険箇所として選定し、集中的に交通安全施設等を整備します。

 また、利用者のニーズに即した分かりやすい案内標識の整備を実施します。特に、主要な幹線道路の交差点及び交差点付近においてルート番号等を用いた案内標識を設置します。

 <3>IT化の推進による安全で快適な道路交通環境の実現

 信号機の高度化等により、死傷事故の抑止、対策実施箇所における通過時間の短縮等を図ります。

 また、光ビーコンの整備拡充、交通管制センターの高度化等の新交通管理システム(UTMS)の推進を図るとともに、情報収集・提供環境の拡充等により、道路交通情報提供の充実等を推進します。

 (4)効果的な交通規制の推進

 <1>地域の特性に応じた交通規制

 主として通過交通の用に供される道路については、駐停車禁止等円滑化に重点を置いた交通規制を実施します。

 また、地域交通の多い道路については、一方通行、通行禁止等を組み合わせた通過交通を抑制するなど地域の特性に応じた交通規制を推進します。

 さらに、歩行者及び自転車利用者の用に供される道路については、歩行者用道路、車両通行止め、路側帯の設置・拡幅等歩行者及び自転車利用者の安全を確保するための交通規制を推進します。

 <2>安全で機能的な都市交通確保のための交通規制

 安全で機能的な都市交通を確保するため、都市部における交通規制を推進し、交通流(量)の適切誘導を図ります。

 <3>国道・県道等における交通規制

 道路の構造、交通安全施設の整備状況、交通事故の発生状況等を勘案しつつ、速度規制及び追い越しのための右側部分はみ出し通行禁止等について見直しを図るとともに、その適正化を推進します。

 <4>高速道路における交通規制

 高速道路における危険防止と円滑な交通環境を確保するため、交通流の変動、道路構造の改良状況、安全施設の整備状況、交通事故の発生状況等を総合的に勘案して、交通実態に即した交通規制を実施します。

 (5)地域住民等と一体となった道路交通環境の整備

 <1>道路交通環境整備への住民参加の促進

 道路交通の安全は、道路を利用する人の視点を生かすことが重要であり地域住民や道路利用者の主体的な参加により交通安全総点検を実施し、誰でも安心して利用できる道路交通環境づくりを行います。

 また、「道の相談室」等の活用により住民の意見を道路交通環境の整備に反映させ、行政と市民の連携による交通安全対策を推進します。

 さらに、安全な道路交通環境の整備に係る住民の理解と協力を得るため、事業の進ちょく状況、効果等について積極的に公表します。

 ア地域住民等と連携した対策の展開

 「あんしん歩行エリア」形成事業、交通安全総点検等誰もが安心して利用できる道路交通環境を創造するため、関係機関が連携して、地域住民等の意見を反映させていきます。

 イ交通モニター等の活用

 交通モニター、道路情報モニターから県内の道路交通に関し広く情報意見を求めこれを交通安全の施策に反映させた交通事故防止を図ります。

 (6)効果的で重点的な事故対策の推進

 <1>事故危険箇所対策の推進

 死傷事故率が高く、又は死傷事故が多発している交差点・単路を指定した「事故危険箇所」について、集中的な事故抑止対策を平成19年度までに推進します。

 事故危険箇所対策においては道路標識設置及び高輝度化等、交差点改良、視距の改良付加車線等の整備、防護柵、区画線等の整備、道路照明・視線誘導標等の設置や歩道、自転車道の整備等の対策を推進します。

 これにより、平成15年度に策定の社会資本整備重点計画に定められた数値目標(平成19年度までに対策実施箇所の死傷事故の約3割抑止)を目指します。

 (つづく)



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